ニコニコ大百科がもっと評価されるべき9つの理由・改

サービス開始からかなり時間が経ち、『ニコニコ大百科』が徐々にその真価を発揮し始めている。


開始当初は「ふーん、ニコニコ公式のWikiみたいなもんか」と思ってました。しかし、あるていど項目が充実し活発に利用されはじめた今、どうも従来のWikiとは一線を画すニコニコに最適化されたWebサービスの姿が見えてきたような気がします。
使っている人は既に意識していることだと思うのですが、ここらでいっぺんその内容をまとめてみましょう。

ちなみにタイトルはこちらのホッテントリメーカーネタから。元記事はあっさり冒頭で「9つは無理」とネタばらしして、実際の記事内容は開始直後にさっそくお絵かき掲示板に強烈な作品を投稿するユーザーが複数現れていることについて述べているのですが……今ならほんとにけっこうな数挙げられるんじゃないかな、と。
例題がアイマスばっかりなのは仕様です。

1.動画と直接繋がる辞典

まず1つ目……であると同時に、以降はほとんどコレの派生かな。仮にこの記事のタイトルを「〜べきたったひとつのこと」にしていたら、このことのみを書けばよかったんじゃないか。

wiki

えっと、例えば、うちがサイドバーに貼っているニコマスWikiがどう利用されてるかというと、たぶんニコマスに興味がある人がググるなりリンクから飛ぶなりしてたどり着き、そこから気になる情報を探していくという感じの流れですよね。ネット上にたくさんあるWikiというものはだいたい同じ使われ方だと思うのですが、ニコニコ大百科はちょっと違う。
【団結】 アイドルマスター だって私たちみんな、仲間だもんげ!‐ニコニコ動画(SP1)

動画のタグが大百科に登録されている単語なら、専用のアイコンが出現して自動でリンクされるという。
最初に「公式Wikiみたいなもんか」と書きましたが、普通のWikiニコニコ大百科との決定的な違いはここにあります。
要するに、

「動画見る→Wiki探す→Wikiから情報を探す→情報にたどり着く」
「動画見る→情報にたどり着く」

の違い。
動画に情報が付属しているので探す必要が無いんですな。これ当たり前の話だけどむちゃくちゃ大きいよね。間を挟まずに直接繋がっているので、動画そのものの価値が上がっているようなもん。*1
もちろん従来のWikiと同じように大百科に飛んでから検索するということも可能ですが、現時点はともかく、恐らくその存在が周知されたら動画から直接飛ぶ利用形態がかなり多くなるんじゃないかな。既にそうなってるかもしれませんが。

2.ジャンル別のスラングが簡単に共有できる


  ↓

仲間だもんげ!とは (なかまだもんげとは) - ニコニコ大百科
「楽屋落ちほど面白いものは無い」という言葉の通り、あるジャンルを知っている人同士でのみ通じるスラング・符丁というのは、知っていればかなり面白さを補強してくれます。その代わり一見さんお断りな空気が発生してしまうのは避けられないので、あまり説明無しに使いすぎるのも善し悪し。
しかし、その場に説明へのリンクがあるならばひと言「大百科参照」で済むわけで、かなり気楽に内輪向けのネタを使うことができるようになるんじゃないでしょうか。なんかよくわからんけど面白い動画があったら、とりあえず大百科アイコンクリックして何食わぬ顔で戻ってくればみんな団結!

3.作者・シリーズタグの機能拡張

アイマスMADはかなり初期の頃からP名をタグに付ける文化が定着していましたけど、もう最近はアイマスじゃなくても複数動画をアップロードしてる人ならだいたい作者名がタグに付いてるのが普通かと思います。この作者名タグは同一作者の動画同士を繋げる機能を持つものですが、大百科へのリンクが貼られることでその作者の詳しい情報と繋がる機能も持つことになるわけです。

上記三つは全て同一作者についてまとめたものだけど、内容の充実度合いとは別に、動画から直接飛べること/ニコニコの、ひいては動画のコンテンツの一部とみなされるであろうことを考えると、大百科には大きなアドバンテージがあると言えます。
とはいえ専門Wikiならばある程度知ってる人向けに割り切って書くことができ、個人ブログは書いている人の主観が入ることも価値であるので、何も大百科があるからそれ以外のまとめは無意味というわけでもない。
一番下のは手前みそなんだけども、ああいう時系列順に作者の動向をまとめるってタイプの記事は大百科にその役割を譲り渡して、似たようなまとめをやるならこれからはもっと主観を出していくのがいいのかな。冒頭に大百科かWikiへのリンクを貼ればいいわけだし。
また、作者名タグからリンクされる項目に付属の掲示板は、コメントでは書ききれない作者へのファンレターとして機能するかも。

作者名ではなく、このような一定の特徴を持った動画群に付けられるシリーズ名の解説もある。

4.動画単体の詳しい解説

グレンラガンアイキャッチ風アイドルマスター‐ニコニコ動画(SP1)

  ↓

グレンラガンアイキャッチ風アイドルマスター (nm3806518) - ニコニコ大百科
タグだけではなく、「この動画に関する情報を大百科で調べる」から飛べば、その動画単体に関する詳しい情報へのリンクとなる。例に出している動画は複数の元ネタがあるため、元ネタ表がついている。
記事が追加されていない状態でも外部プレイヤーと作者コメはデフォルトでついてるので、ニコニコ動画のアカウントを持っていない人向けへの紹介ページに使っても良いかもしれない。

というかトップからいける「最近更新された動画解説」を回れば、アカウント持ってない人でもほとんどの動画が見れてしまう。まあ、見れる見れないに関しては外部プレイヤーが登場したときからほぼ意味は無くなっていたのだけど。はてブの注目の動画とか外部プレイヤー付きだから全部見れるし。
この動画紹介用ページに付属の掲示板も、コメントで書ききれない感想の受け入れ口となるかも。

5.歴史の編纂

ニコニコ以前からのMADの歴史、ニコニコでのMADのポジション、フラッシュとの関係、著作権関連まで網羅したまとめ記事。これはどちらかというと本来の辞書としての役割に近いけど、このような動画に関する歴史をまとめた記事もニコニコに実際にある該当の動画にリンクを貼りながら説明できるため、かなり優秀なまとめとなっている。
ところで今回の本題ではないけど、ラストの「ドワンゴはMAD動画を含めて全て削除することに同意した」という情報がアニメ本編削除宣言のときと同様本気であるとしたら、近々ニコニコ動画の地図は大きくかきかわることになる。……既に、いや、ニコニコ動画がはじまったときからとうに覚悟は完了していたつもりではあるけど、唐突に誕生したMADの楽園も、もう終わりを迎えるということだろうか。

6.アンサイクロペディア的な嘘ネタも楽しい

もちろんニコニコ動画の大百科なので、真面目な記事ばかりではなくアンサイクロペディアのようなネタ記事も多数投稿されている。
開始当初はWikipedia方向に進むのかアンサイクロペディア方向に進むのか予想が付かなかったのだけど、ぶっちゃけ今も予想付かない。どちらの方向性も共存している状態の模様。ニコニコ動画といえば白黒はっきりしない曖昧な状態を維持することでここまで発展してきたサイトなので、もしかしてこのまま共存したままなのかもしれない。

7.掲示板でのコミュニケーション

ニコニコ大百科のあらゆる項目には、それぞれ一つずつ掲示板が付属している。つまり、事典の項目でありながら同時にスレタイでもあると言えるわけだ。
さすがに数が多すぎるのでどこもかしこも賑わうというわけにはいかないだろうけど、人の集まりやすい記事ではけっこう活発にコミュニケーションや議論が行われるのではないでしょうか。事実、↑の「嫌儲」の項は本文よりも掲示板の内容のほうが長い。

8.掲示板付属のお絵かき機能

掲示板にはお絵かき機能がついていて、かなり活発に活用されている模様。詳しくは最初に貼った元ネタ記事を参照していただければ。

トップから飛べるこのページを眺めて見ると、けっこう大規模な画像掲示板の様相を呈している。

9.イベントのサポート

ついこないだ開催された大規模祭り「愛M@S24」では、メインのWikiにある番組表のミラーが大百科に用意されていた。今はそれにプラスして祭り後の情報も色々と追加されている。編集したかたは祭りの運営者か有志が勝手にやってくれたのか、どっちなのだろう?
以降も何かしらのイベント・祭りがあったら、情報のまとめ場所、またはミラーとして活躍するに違いない。


まとめ

……うん、ほんとに9つ挙げられましたね。まとめられるものをわざと分けて項目数稼いでるように見えるかもしれないけど、それはきっと気のせいだと思うなっ!


いまのニコニコ動画って島宇宙化がかなり進んでいて、同じニコ厨でも自分が主に見ているジャンル以外はほんの上澄みしか知らないという状況になりつつあります。「おっくせんまん」「組曲」など、「ニコニコ動画を代表する」というようなものが出てくるには、もはや場が拡大しすぎたのでしょう。無数の大きな島、小さな島に別れて、それぞれの島が拡大し続けているというのが現状だと思われます。
しかし、例え上澄みしか知らなかったとしても、ニコニコ大百科によってそれぞれのジャンルの説明にすぐにたどりつけるとなれば、かなり気楽さが変わってくる。
つまりニコニコ大百科は、一年以上積み重ねてきたものを捨てさせるのではなく、ある程度保持した上で新規顧客の入り易さも確保するって狙いがあるんでないかなーと。

*1:正確には動画の存在するページの価値が上がっている