極論に極論を返すと無限ループに陥る

昨日の記事の補足。
まあ見て頂ければわかりますが、ブクマ、コメント、トラックバックと全部合わせるとすごい数の突っ込み、反応を頂いています。さすがに全てにひとつひとつ回答するのは効率が悪すぎるので、こちらの記事でまとめて返答に代えさせて頂こうかと。


えーとですね、要するに何が問題かと言いますと、言い切れないはずのことを言い切っちゃってるのが問題なわけです。「ニコニコのアニメ本編動画は大した影響力を持ってない」って部分。あんな穴だらけの調査だけで、そんなもん断言できるわけありません。極論です。実際、頂いている突っ込みのほとんどはほぼこの部分に関することですよね。
ここで「なんだわかっててやってんのか釣りかよ」と思われるかもしれませんが、ちょっと待って下さい。それは誤解。釣りじゃないよ。ナチュラルに釣り状態になってしまったことは否定できないけど、僕も最初はそんなこと断言する気は無かったのです。


恥を晒すことになりますが、あの記事を書いた当初の状況を順番に説明してみましょう。

  • ニコニコは権利者にとって大打撃であるというコメントが付く。
  • 「現状、ニコニコを使っている人間のほとんどは結局「無料レンタルビデオ店」代わり」という前提に違和感を覚える。
  • よくよく考えてみると、ニコニコのことよく知らない人ってみんなそう思ってるのかもしれないことに気づく。
  • それは無用な反発や軋轢の元になるだろう。わかりやすくそれは極論でありえないということを表現できないものか?
  • ここでちょうど見たばかりのニコニコランキングを思い出す。確かめちゃくちゃアニメ本編少なかったような……
  • 見直してみるとやっぱり少ない。実際に数えてみよう。

まあ、ここまではいいんですよね。目的からすればわざわざニコニコランキング使わずに再生数だけで見たほうがいいに決まっているだろってことには気づいてなかったんですが。で、この時点での記事の仮タイトルは「ニコニコは無料レンタルビデオ店代わりなどではない」。本編はリピート再生されない、消される、上位のランキングに入っていない動画だってそうとうな再生数になる……そこらへんのまぎれを考えても、「ほとんどの人が無料レンタルビデオ店代わりに使っている」というのが間違った認識であることを説明するには十分な説得力と言えるだろうと。これについては今でもそう思ってます。
問題なのは、この後。

  • 数えた結果、あまりにもあまりな数値が出る。2%。
  • もしかしてアニメ本編の影響力って全然たいしたことないんじゃ……

で、タイトル変更してちょっと文章いじって今の形に。*1
当初の目的が横滑りしてなぜか極論への反論だったはずのものが極論の主張になってしまっています。本末転倒もいいところ。同じ条件で比べれば絶対に少なくなることはわかった上で、あくまで反証の説得力を増すためだけに集めたはずのデータが予想をはるかに超える結果だったため、僕自身が踊らされてしまったわけです。ああ情けなや。


昨日Twitterでこのことについてid:y_arimさんとやりとりしてて思ったんですが、ここであっさりと極論に飛びついてしまった理由は、僕が本編動画とかは無くなってもまあ別にかまわないかな、と思ってるからっていうかなり自己中心的な部分があるのは否定できません。なんだアニメ本編全然少ないんじゃん、ならいっそ無くしちゃってニコニコの延命計ろうよっていう流れが僕には都合が良いわけで。
でも、そんな主張は自分勝手以外のなにものでもない。そんなことわかってたはずなんだけどなあ……。


「ニコニコのアニメ本編の影響力なんてたいしたことないんじゃないの」っていう極論に対する反論は、トラックバックを頂いたこちらがわかりやすかったです。

本編を知らずしてMADの面白さはわからない

そもそもニコニコ動画においては、MADと本編の相乗効果によりあるコンテンツが面白くなっていく。あるいはコメントと動画の相乗効果によりある動画が面白くなっていく。自分を含む「ニコニコ市民」ともいえるべき集団が作り出していく「新しい、想像もしない面白さ」に我々は魅了されるのであり、そこには「MADだから」「本編だから」という考えは成立していないのではないか、と私は思う。面白ければなんでもいい、それがニコニコに求める全てであり、MADも本編も区別すべきではない。

本編無くしてMAD無し。相乗効果でお互いを楽しめるようになることこそがニコニコの醍醐味。全く、その通り。
僕はアイマスMADっていうちょっと特殊なジャンルをメインに見ているので、すぐに思い至らなかったんでしょうね。それもずいぶん自分勝手な話ですが。


そういうわけで、「アニメ本編動画が大した影響力を持っていない」という主張は全面的に取り下げます。あのデータはその主張の証明にはなりえません。
ですが、元々の目的である「現状、ニコニコを使っている人間のほとんどは結局「無料レンタルビデオ店」代わり」という認識が間違いであるということを伝えるのには成功してると思うのですが、いかがでしょう?

追記 - 実際に2%のわけがない

僕の認識もそうとう現実から乖離してました。まさかアニメ本編がこんなにたくさんアップされててこんなに消されまくってるとは思わなかった。

極端な結果→なんだやっぱり少ないんじゃんってあっさり思い込んじゃったのは痛恨でした。ほんとなら極端な結果はまず疑わなければならないのに。僕は基本ニコニコを擁護する立場なので、都合のいいデータをあっさりと信じ込んでしまった。まあ突っ込みどころは満載だけどここまで極端なら逆転することはないし、少なくとも本編ばっかりというイメージは無くなるだろうと。
しかしですな、間違っているイメージを正すために逆方向に間違ったイメージが広まってしまっては本末転倒です。ニコニコのアニメ本編の比率が本当に2%なわけありません。元エントリでもそんなことは言ってませんが、言ってなきゃいいってもんでもないでしょう。あの極端すぎるデータは、嘘ではないにしてもデマの元になる可能性があり非常に危険です。信じてはいけません。その証拠に、僕はこれならニコニコのアニメ本編って実際には大した影響力が無いんじゃないの? って思ってしまった。よくよく考えればそんなわけないのに。
現在トラバをくれた方々が行ってくれた検証を眺めてみれば、少なくとも2〜3割、下手すると5割を超える可能性もありそうです。しかし、元々の目的を考えれば別にそれでも十分なデータだったのです。アニメ本編や作業用BGMがほぼ全てを占めてるってわけじゃないんだから。
まぎらわしいこと書いてほんと申し訳ない。僕の最初に挙げたデータはたたき台くらいに受け取って頂いて、眉につばをつけて見てください。


元エントリのほうでも追記しましたが、2%というものがいかにあやしいデータかということはid:sirouto2さんがこちらのエントリでわかりやすく解説してくれています。

*1:まあこっちのタイトルのほうがキャッチーだし、本文では何も断言はしてないのでいいだろというノリで。良くないから。それ良くないから。完全記事の趣旨変わってるから。