「プロの犯行」から「先生なにやってんすか」へ - わかむらP、フリーランス移行を契機にMADから撤収
ニコニコ動画に、わかむらPという名物動画職人がいます。
約3年ほど前に現れ*1、主にアイマスのPV風動画を中心にハイクオリティな作品を多数発表する傍ら、様々な企画の審査員に呼ばれたり覆面被ってTV出演したりヤングビレッジPとの関係が噂されたり毎週ニコ生でラジオやってそれが人気番組になってたり。まあ何かと派手に目立つ人物なので、ニコ動好きならだいたいどこかで名前を目にしたことがあるのでは。
実は彼の職業はアートディレクターで、ガチのプロがその技術と機材と経験を惜しみなく注ぎ込み、一銭にもならない「才能の無駄遣い」に使っているのである……という事も、今となってはよく知られていることでしょう。
そんなわかむらPから、先日このような発表がありました。
ニコマス*3からの撤収宣言。しかも過去作も近日中に削除予定とか。
本人は「ニコマスから」とおっしゃってますが「わかむらP名義で仕事を受ける」ということは、権利関係の微妙なMAD動画全般からの撤収宣言と受け取ってよいでしょう。
いや、こーれーはショックですねえ。特に過去作消えるのがきつい。後々まで残ってほしい名作がそりゃもう山のように。
わかむらPは既にプロなので「プロになるから自粛」ってラインはないし少なくとも本人が飽きちゃうまでは安定だよねーと安心していたら、まさか「フリーになって仕事に名義使うようになるから撤収」なんてラインが存在していたとは。こういうときまで斜め上なのはさすがというかなんというか……。
まあしかし、これは彼の事情を考えれば仕方ないことではあります。
これからフリーで活発に活動していくつもりなら、ここまで大きくなった信頼の「わかむらP」ブランドを使わない手はないし。そうなると、少なくとも日本においてはMADを作っていた名義のままで活動している前例*4はあっても、以後も同じ活動を続けたり過去作をそのままアップロードし続けたりなんて前例は全くない。
これから保証の無いフリーランスの道を行こうって人に、前例なかろうが何だろうが動画残ってほしいんだから冒険しやがれとか、んな無茶なことは誰にも言えやしないでしょう。実際僕が見る限り、そりゃ仕方ないよなあって反応がほとんどみたいですね。
削除予定の動画
削除される動画はあくまでわかむらP名義のアカウントで管理されているものをアカウントごと削除するだけで、企画に提出したものや合作などの、別の人が管理しているものについては消えないそうです。
なので個人的に最高傑作だと思っているWR3とか、
ニコマスメドレー春・秋などは消えない。
また、ここ最近ガンガン発表して話題をさらっているMMD関連の動画も、曲はボカロで動画はMMDなので、残ります。こっち関係の投稿は変わらず続けてくれるとうれしいなあ。
しかし、歴史的にも重要なPSPSとかは消えちゃうんだよなあ……。
うう……残念すぎる。
削除予定の動画はわかむらPご本人がマイリストでまとめてくれています。たぶん削除直前に自然と祭りが発生すると思われるので、急いで巡回するのが吉。
公開は10月いっぱいだそうです。
アイマス2関連のアレコレとは全く関係無い
わかむらPといえばニコ動におけるアイマスジャンルの屋台骨を支えてきた人物の一人*5ですので、どうしても結びつけて語られてしまいそうですが……今回の件はアイマス2の騒動とは全く無関係な話です。
これまで会社員だった人がフリーになって活動を開始するなんてことは、そりゃもう人生の一大事なわけで。たまたまアイマス2の騒動とタイミングが一致したところで、んなことが影響を及ぼしているわけがありません。
まあ、普通に考えればわかることなので不要な注意かとは思うのですが。
わかむらPは次のステージへ
さて、ついつい残念だって気持ちが先行しちゃいますが「わかむらP名義での仕事が増える」ってのはファンにとってはかなり楽しみなことでもあります。
ニコニコ動画における「プロの犯行」って言い回しは実は本当にプロであるかどうかに関わりなく「まるでプロの仕事のようだ」という賛辞が込められた言葉であり、実際プロである人物には「先生なにやってんすか」という言い回しが使われることが多いようです。おおっぴらにその名義で仕事をしていないわかむらPにはこれまで前者の言い回しが使われてたわけですが、これからは後者が使われることになるのでしょう。
つまり、注目しているクリエイターの欄に「わかむらP」と大手をふって書いてもよくなるってことですよね。ゲームのムービーとか映画やPVのクレジットに当たり前のようにわかむらPの名前を見れたりするってことですよね。ニコニコ動画やアイマスとコラボした何かを見ることができるようになるかもしれないってことですよね。ヤングビレッジとか言わなくても(ry。
……わくわくするじゃないですか。
「引退とか別れとかじゃなく、単なるポジションチェンジ」。頼もしい言葉です。
これから次のステージに向かう彼には「さよなら」じゃなく「おめでとう、これからもよろしく」という言葉がふさわしい。
僕はそう思います。
「正すことは正義!」 ―チンポジ選手権の魅力― - レスター伯の躁鬱