そのひびわれは、断絶じゃない

僕が山本さんニコマスファンだったんだわーいとお気楽な反応してる横で、はじCさんが煽り分おおめの記事を書いていた件について。同じことについて書いてるのにこの温度差の違いときたらどうだ!
実はその日のうちに反応しようとしたのだけど、なんか火傷しそうな気配がしたのでしばらく放置してほとぼり冷めた今日書きます。

さて、話題の発端となっているアノニマスダイアリーの記事は、じゃあデータどうぞとあっさり最初の前提覆されたり何でこの人こんなに必死なの? と嘲笑されたりニコニコでだけ広がっても意味ないでしょと突っ込まれたり、わりと踏んだり蹴ったりでちょっと哀れ。
正直言うと僕ももっと広がれどんどん広がれーみたいなことさんざん言って煽ってる立場だし、ニコニコ動画に強すぎるくらいの思い入れを持ってることには好感すら感じるので、このひとがこれだけボロクソ言われてるのを見ると若干複雑です。ただまあ、さんざん文句言って結論が「やる」じゃなくて「やれ」なのはアレだなあと思う。ブログやコメントでデータ出したり反論したりなだめたりする人かなりいたけど、「じゃあお前がやれ」って反応がほとんど無かったのは不思議不思議。IMMWSとか引き合いに出してる場合じゃないぞっと。
ニコマスって別に誰かが計画的に作ったもんじゃなく、みんなが楽しいと思うことをほうぼうで勝手にやってたら結果的にこうなったもんだろうしねえ。「ニコマスのために○○をやれ」みたいなことは言っても無駄だと思う。それなら何かしらの楽しそうな提案をするほうがよっぽど目的にかなうんじゃないかな。


それはそれとして、「アイマス的にはこれ以上ニコニコ動画で拡大してもメリットが無い」みたいな意見を見ると、やっぱニコ動から入った僕のような立場の人間は若干ショボーンとなります。あの世界の存在に触れさえすればあっという間に魅了されるような人々はまだまだたくさんいるはずだと僕は信じているし、受け取るべき人のもとに受け取るべきものが届くのはやっぱ幸福なことだと思うのさ。適正ユーザー数とかコアユーザーのケアの問題とかそりゃあいろいろあるのだろうけども。それでもね。
とはいえ、なるだけ還元しようと思って箱○もゲームも買ってるしCDも何枚か買ってはいるけども……たくさんお金落としてるコアユーザーとはまだまだ比べ物にならないだろうし、それがコアなファンの邪魔になると言われるとにゃー、どうしたらいいのやらという感じでもにょもにょします。


以下、ちょっと長めに引用しますが、最初に紹介したはじCさんの記事の後半はそのへんのジレンマの話ですね。

 ちなみに、アイドルマスターファンはニコマスファン(アイマスMADのファン)とアイマスファン(おおざっぱに言えばゲームのファン)に二分され、あまり言及されることはありませんが、両者の間には深い深いひび割れが横たわっています。

 実際には、アイマスファンの側がニコマスファンを一方的にDISっている構図ですが、アイマスファンはあまりブログで論を述べたりしないので(主に2chでやる)、自サイト・ブログを中心に言説の巡るニコマス界隈では、この事実は目立ちません。

 で、この文脈に従うところ狐汁さんはアイマスファンのようだ、というあたりをおさえてこの記事を読み進むのが良いのではないかと思われます。言い換えるなら、先日の山本○先生の記事なんかには、かなり冷たい視線を投げかけるタイプ。

 つか、あれどうなの? 馬鹿なの? ああいうのがいるからニコマスが必要以上に悪く言われるんだよ。お前がアイドル育成に興味がないとか誰も聞いてねえよ。黙って見てろ。とか2chに書かれるので、くれぐれも気を付けてくださいね^^

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実はこのへん、山本さんの記事読んだ直後に僕も考えました。実際にはそんなややこしいことには言及せずにひゃっほう面白い話みっけ! ってノリで紹介しましたけど。
最後の段落は若干煽りすぎな気がしますが、確かに2chでそのまんまの投稿がされてても全く驚かないというかたぶん既に何回もされてるでしょう。話の流れがアイマス民対ニコマス民の2元論に綺麗に収まってしまって誤解を招きそうなのも気になりますけど、まあ、おおむね事実。


もちろん既に突っ込まれているように過激な発言をするのはごくごく一部で、寛容な人のほうがはるかに多いでしょう。しかしそれはあくまで「寛容」であることに注意しなければなりません。スルーです。大人の対応です。そうしているうちに当初は無邪気だったユーザーも空気読んで「ゲーム本編には全然興味ないね。ニコニコで見てりゃ十分だよ」みたいな原作ファンの神経逆なでするようなことは言わなくなります。たとえ本心だとしても、そんな本人がすっきりするだけで誰も幸せにならないこと言ったってしょうがないしね。まあ、今まではそんな感じでなんとか回ってる。
ところで、ちょっと話は飛びますが、ニコニコ動画においては荒らしはスルーが推奨されます。動画上で論争が起こればあっという間に動画そのものの魅力に影響が出てしまうぶん、2chよりも強く推奨されているかもしれません。NGコメント機能などのシステムがそれを支援しています。また、これは荒らしではなく悪気の無さそうな何気ないうっかり発言にも適用されます。ニコニコの動画コメントは祭りの場所であり、意見をやり取りするのには向いていないのです。反論してもデメリットのほうが大きいなら、反論しないほうがいいよね。


そうして、大人の対応をする人ばかりがひたすらフラストレーションを溜めていく構造ができあがる……と。
おかしいですよね。無難で賢いやり方を大半の人が選択して頑張って心地よい空間を保つ努力をして、その結果我慢強い人がひたすら我慢を続けていくしかない状態で安定してしまった。じゃあいったいどうすりゃ良かったっていうの! と逆ギレしたくなります。平均年齢高くて荒れにくいニコマス界隈ならではの、目立たない静かな悲劇と申しましょうか。
ニコニコ動画内部で不可能なぶん2ch、ブログ、IRCTwitter、オフ会などがガス抜きを担当して上手くまわっていけばいいんだけどね。そのうち溜まりに溜まった鬱憤が爆発しないかちょっと心配。


突き詰めると好みの問題だし、こんなもん根本的な解決法なんかあるわきゃないんですけどね。どんなに魅力的なゲームでも動画でも、好みの違いを均一化することなんか不可能だし。人類補完計画じゃあるまいに。
しかしまあ、一つにはなれないしなりたくもないけれど、歩み寄ることはできる。
例えば、僕とはじCさんはしょっちゅう一緒に飲みに行ってたりしてとっても仲が良さそうに見えると思いますけど、実を言うと深い深いひび割れは僕らの間にも横たわっています。上の文脈に従うとCさんはアイマスファン寄りで僕はニコマスファン寄り。それでも、それぞれが動画薦めたりネット対戦に誘われたりして、お互いの好みを理解した上で歩み寄ったり引き寄せられたり元々重なってる部分を楽しんだりできています。
いやお前そんなもん元々仲良かったら当たり前じゃんって思われるかもしれませんが、元々友達じゃなくたって、スルーしたり一方的に敵対するだけじゃなく歩み寄れることも多いと思うんです。そのひびわれは完全な断絶ではない。

一連の流れを受けてのこの増田の記事とか、十分に歩み寄れる余地が見えますよね。
まずは違いを知ること、知った上で譲れる部分は譲り、洗脳できそうな隙があるならここぞとばかりに洗脳すりゃいいのです……ってなんか当たり前のコミュニケーションの話になってどうなんだコレって感じですけど、スルーするのが楽すぎて見ないことが常態化しちゃうとそれはそれで危ないと思うのですよー。言葉通じるんだから、出来るだけ話し合いましょうや。


最後に個人的な話をしますが、最近はニコマスプロデューサーさん含めた思いっきりコアなユーザーさんとの飲み会に出席したりすることも多くなって、ゲーム本編やキャラへの強い拘りを肌で感じる機会が増えました。それはとても楽しいことであると同時に、正直言うとそりゃもう肩身が狭いったらありません。ありませんが、そこで自分のヌルさを嘆いたって急に内面が変化するわけじゃなし、僕は僕なりの方法と深度で作品と接していくことしかできんのです。
そのへん歯がゆく感じる方もいるとは思うのですが、どうか大きな心と長い目で見て、これからも仲良くしてやってくださいまし。