アージュ嫌いを許してくれ

関連エントリ

泣けるか泣けないかは問題じゃない
 このエントリの僕のアージュへの愚痴に海燕さんが反応して、こんな感じで広がりました。
何でそんなにアージュが嫌いなのか?
アージュは何でそんなに嫌われるのか?
アージュが嫌われているわけと、アージュのいい所。
age作品への最高の侮辱は「0点」よりも「50点」という評価


 
 「たぶんまた続きを書きます」とか言ってるうちに、さらに話が広がっている。うーん、ブログって凄いなあ。

 
 色々と回ってみたんですが、アージュを嫌いな人、好きな人の特徴がそれぞれのエントリによく現れてて面白いですね。それぞれのエントリで自分の考えと重なる部分をみているうちに、だんだん自分自身の頭の中を客観的にのぞいているかのような気分になってくる。脳みそが心地よく刺激される感覚です。
 
 おかしなことに、僕の感覚にしっくりくるのはむしろアージュを擁護してる意見のほうだったりするんですよね。「大嫌いだ」って宣言してるくせにさ。

おまえらにアージュの良さの何が分かるかってんだ、ちくしょー!


――アージュが嫌われているわけと、アージュのいい所。

 たとえばこのひとの言いたいこととか、すごくよくわかる。もし僕がアージュが貶されてるときに反論する*1としたら、こういう内容が理想かもしれない。わざわざ(冗談です)って注釈入れてるとこを引っ張ってきて言うのもなんですが、良さはわかるんですよ! そうでなきゃ「嫌い」だなんてわざわざ言わない。
 「大嫌い」という個人的な感情は表明するけども、あれだけ出来のいいゲームを連発しているアージュというメーカー自体は認められるべきだと思っているんですよね。引用元の人は言われなくてもわかってると思うけど、擁護と叩きで微妙に噛み合わない意見が散見されるのは、好き嫌いと出来不出来がごっちゃに語られているせいだと思う。
 「いくら延期してようが、あれだけの出来のものを見せられて認めないのは心が狭い」とか言われてもさ、その、困る。だって認めてるもの。ただ内容に生理的嫌悪感があるだけで。
 この「生理的」って部分がくせ者で、アージュを叩く人がどうしても感情的になってしまう原因なんでしょう*2海燕さんですら「気にさわってしょうがない」みたいな感情的な表現をしてしまうアージュ特有の毒々しさは、アージュ信者を自認している人も感じているはず。
 
 エントリとかコメントとかでアージュが嫌いだ!って言う人が挙げてた理由は、

  • あざとい(一発芸が多い)
  • 底意地が悪い
  • 説教臭い
  • 作品に余剰が多い
  • 延期!

 あたりになりますよね。確かに嫌いになる理由にはこれでじゅうぶんかもしれないけど、僕こういう特徴のゲームで好きな作品たくさんあるんだよなあ。これが全く許容できないんじゃエロゲオタなんてやってられないよ。
 
 むしろ多少のあざとさや底意地の悪さは望むところ。説教くささは共感さえ出来れば長所になる。余剰の多さはマブラヴやオルタには見られないので、「アージュ」が嫌いな理由にはならない。
 延期に関しては、まあ、他もやってることですし。確かに度を超してるとは思うけど、結局いつ発売するかなんてメーカーの勝手であって、「期待してたのに!」っていう怒りは極論してしまうと客の甘えなんだよね。まあ予約とかして実際に被害を受けたんならまた話は別ですが。
 新作の発売日に続編発表とか確かに底意地が悪いけど、リスクを承知の上でやってるんだろうと思いますよ。
 ……というふうに、これらの理由は僕の中ではどれも擁護できてしまうんです。
 
 色々考えた末の結論としては、結局、個人の許容範囲の違いとしか言いようがないですね。上記のエントリで書かれている「気持ち悪さを肯定した故の美しさというような、アンビバレンツな物語にアージュはしようとしている」の、その「気持ち悪さ」の部分に耐えられなくなった人から脱落していくのがアージュのゲーム。僕は「君望」→「マブラヴ」あたりまではなんとか許容できるけど、「オルタ」は無理。まず制作者の言いたいであろうことに共感出来ないし、共感できない説教にいつまでも耐えられるわけがない。あざとい一発芸もあれだけ繰り返されると耐えられない。どうやら海燕さんは「君望」の時点でおなかいっぱいだったらしい。そして今も好きな人は、それら全てが許容範囲内なんでしょう。
 
 信者を自認する人ですら、「鳥肌が立つほど嫌」とか「反吐が出そう」とかいう表現を使ってしまうような毒が、アージュの作品には確かに存在するんです。しかもそれは「君望」→「マブラヴ」→「オルタ」の順に、どんどん濃くなっている*3
 これらは「螺旋回廊」のような明らかにソッチ向けのものではなく、比較的一般向けに作られていて、基本的には誰でも楽しめる出来のいいゲームです。だからこそ、気持ち悪さに辟易しながらも最後まで、しかもそれなりに楽しんでプレイできてしまう。つまり、早いうちにギブアップして逃げ出せずに、限界ギリギリのところまでいってしまう確立が高いのです。客の期待感を煽るのはほんと上手いからね。どんなに嫌な気分になってても、つい最後までプレイしてしまう。だからアージュに対して恨みにも近い感情を抱くようになるんじゃないかな。
 
 それだけの思いをしてるんだから「僕はアージュのゲームのここが大嫌いだ」っていうくらいは許されてもいいと思うんだよね。それはけして存在を否定していることにはならない。むしろある意味でアージュを認めている証拠なんじゃないかと。好きな人から見れば逆恨みに見えるかもしれないけどさ。いまでも好きでいられるひとは、幸せなんですよ。

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ちょこっとだけ追記

 どうもたくさんの人が見にきてくれてるようなので、見苦しい部分をちょっとだけ直しました。でも語尾とか調整しただけで別に話の趣旨は変えてないのでご安心を。まあ、相変わらず見苦しい部分は多いと思いますが……。もしここ意味わかんねえぞ! ってとこがあったら言って下さい。


 関連エントリ見て回ったりしてると色々とプレイ内容を思い出すんですけど、オルタまで全部やって許容できてしまう人はほんとストライクゾーン広いよなあ、と思う。やっぱ一番最近にプレイしたオルタの印象が一番強いってのもあるでしょうけど、あれはもう完全に僕の許容範囲を軽く超えて成層圏まで行ってたからなあ。僕には、とてもあのラストシーンを「美しい」と形容することは出来ない。むしろトドメさされたような気分だった(笑)。


 アージュ好きだなんて! あんな悪意の固まりに気付かずにベタに感動するなんて馬鹿に違いない! と思いこんで感情的にアージュ信者を叩いちゃう人もけっこう多いと思うんだけど、それは勘違いだから止めた方がいいと思う。だってそんなの、気付かないわけないでしょー(笑)。毒々しい部分はあんまり気にせず面白い部分に目を向けて楽しめる人か、もしくはあの濃密な悪意が逆にたまらんっていう人*4がほとんどなんじゃないかな。


おまけで色々とぶっちゃけ → 本音を全て書くと言いがかりになる

*1:あれだけぼろくそ言ってるくせに、貶されたら反論したくなるんだよ、これが(笑)

*2:人ごとみたいに言ってるけど僕もそうだ

*3:という気がする。単に飽きたから嫌いな部分に目がいくようになっただけかも

*4:エロゲ好きならこういう人も多いんじゃないかな。「悪意」ってのはエロゲの重要なキーワードのひとつ。