現状はハイレベルな"教科書通り" - WHITE ALBUM2 -introductory chapter-

WHITE ALBUM2 -introductory chapter-
ホワイトアルバム2序章『introductory chapter』クリアしました。
分割発売の一個目ってことで体験版で出ててもおかしくないレベルの短さです。「これで5000円はちょっと……」って思う人もいるかもしれません。でも、内容はかなり面白いです。10時間くらい全く退屈しない時間を過ごせると思えば、まあコストパフォーマンス的には悪くないのではと。


内容はホワイトアルバムの2なのでもちろん三角関係モノ。「ホワイトアルバム2だからアイドルの話でいいよね!」とかぬかしたら暴動おきますよね! そして、さらに重要なのは『パルフェ』『この青空に約束を』などでその筋では有名な、丸戸史明がライターであること。「あの」丸戸さんが「あの」ホワイトアルバムの続編を書く、という情報だけでぶっちゃけ僕あたりは即買い決定なわけで。たぶん他にもそういう人はけっこういるんじゃないかと。

丸戸さんは起承転結のある物語を積み上げて積み上げて、経過も面白くラストもしっかり感動させる、まさに職人芸と言いたくなるようなシナリオを書く人です。ただし、彼はプレイヤーが楽しむために必要な適度なストレスをかけることはあっても、けして過度なストレスはかけない作風でもある。
だからこそ、丸戸×ホワイトアルバムは興味深いのです。消費者というのはわがままなもので――いや主語大きいね――僕は、わがままで。すごくよくできた面白い話を読んでいると、それが崩壊する瞬間も見たくなるんだよね。ストレスなくするりと飲み込めてしまうと、いやもう一段上に行けるならもっとストレスかけてくれてもいいのよ? ぜんぜんつきあうよ? って言いたくなるわけさ(笑)。さすがに題材がホワイトアルバムなら、もしかしたらあの丸戸さんでも踏み外してくれるかもしれないじゃないですか。
プレイ前に僕が期待していたのはそのへん。


そして、プレイ後の感想は、結論から言うと「やはり崩れなかった」ですね。
男1人×女2人が出会ってちょっとずつ接近していく様が序盤からすんげえ丁寧に描かれて、何も悪いことは起こらないどころかむしろニヤニヤできる場面ばかりで誰も悪気はない、なのに着々と逃げ道が塞がれていくのがわかる。もう、これ以上ないってくらい王道の三角関係モノ。
なら期待外れなのかというと↑で書いた意味では全くそのとおり。でもなー楽しめてしまうんだよなーこれが。だって上手いんだもんずるいってえの(笑)。王道が崩れる様を期待して、王道の強固さを思い知らされる。なんだか負けた気分です。
それでもやっぱり、本音を言えば、一瞬でもいいからそれまでの積み重ねが崩れてゾッとするような場面が欲しかった。ラスト付近、典型的な憎まれ役の当て馬ポジションになってしまった彼女が吐いた「バランスをとった」ってセリフは若干ゾクっとさせるものがあってここからガラガラガラっと来るか? と一瞬期待して身を乗り出したんですけど、そこからさらに深く突っ込むことはなかったですね。みんないいやつで、誰も悪くないままエンド。


……しかし、良く考えてみたらこれって序章なんですよね。
既に三角関係モノの話としてはほぼ完結しちゃってますよ? まさか本編で皆幸せになりましたハッピーエンド、ってだけの話をやるわきゃないし、んじゃ3年後大人になった登場人物たちが純粋な初恋時代とは違ういろいろとドロドロとした思いっきりストレスのかかる三角関係を展開するとか……おや、それ『君が望む永遠』じゃね?

いや、君望のドロドロさは普通にしんどいのであんまり好きではないんですけど、丸戸さんが書く君望ならバランス的に理想に近いかも。そうなんないかなー? いやー、なんないか? きっちりいい話でまとめてくるか? 可能性としては後者のほうが確率高そうだけど、前者だったらかなり面白いもんが拝めるかも?
まあ、どっちにしろいい話で綺麗にまとまったとしても値段ぶん以上に楽しめるのは間違いないので、僕は若干ヒネクレた期待をしつつ後編の発売を待とうと思います。


あと、ちょうどクリアしたばかりの海燕さん平和さんホワイトアルバム2ネタでニコ生やろうぜーって誘われてるので、近いうちに放送告知します。興味ある方はどうぞー。


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