14分の紹介動画が「世界の新着」を完走した理由


こないだ紹介したばかりのTogetterで、さっそくリストを作成して記事に使わせてもらいましょう。
超力作の動画紹介動画『俺がニコ厨に勧めるアイマス動画221本』のPart1が、なんと紹介系で14分の長い動画にも関わらず「世界の新着動画」を完走したという件についてです。まとめにもあるとおり前代未聞の事態というわけではないようですが、それにしても驚きですよね。どうしてそうなった。

何が驚きなの?

世界の新着動画は、ニコニコ動画に投稿された直後の新着動画を生放送でランダムに流し、数分ごとに視聴者投票を行って視聴継続をするかどうかが決定するというサービスです。なので、長い動画は多く審議があるので不利。逆に審議に入る以前に再生が終了する短い動画が流れた場合、完走ではなく「逃げ切り」という用語で呼ばれるようです。
上記を踏まえて考えればある程度想像はつくと思うのですが、ランキングや紹介動画などのいわゆる動画リスト系は、普通はハネられる傾向にあるんですね。長いし、そもそも単品の動画ではないので。まあ、↑のリストで言及されている「世界の新着動画完走組」タグの「再生時間が長い順」を見ると他にもランキング動画が入っているので例外もあるようですが。
でも日常的にセカチャク*1を見ているわけではない僕でも、リスト系の動画が「はいはいランキング乙」「だから長いって」「おお、今回のあがったんだ。マイリスして後でみるねー」「興味はあるけどセカチャクで見なくていいかな」って感じでハネられているのは何回も確認しています。つまり『俺がニコ厨に勧めるアイマス動画』にはそれを覆す何かがあった、と判断してかまいますまい。

「場」の形成は吸引力となる

俺がニコ厨に勧めるアイマス動画221本 1/7‐ニコニコ動画(9)
んで、どういうことかと思って動画を見てみたら一発で納得しました。こりゃ上手い。



まず、いきなり最初の3つでアイドルマスターの代表的な楽曲の「GO MY WAY」→ミク3D→東方3Dの流れでセカチャクの視聴層である御三家を繋げています。さらにそこから水銀灯→修造→J(歌ってみた)のGO MY WAYを繋げて、ニコ厨向けに範囲を広げていく。ニコニコ動画で有名な楽曲の定番動画二つを流した後に、次はコミュ動画でアイマスの雰囲気、キャラをちょっとずつ見せていく。

そして、中盤のとかちから順にニコニコ動画の流行をアイマス関連動画で振り返る流れに至ると、だんだんとコメントの空気が形成されていきます。


(※色の薄いコメントは世界の新着動画経由のもの)
むちゃくちゃ盛り上がってますね。
ポイントは「懐かしさ」。ニコニコの流行と絡めた動画を連続で流すことで、古参のニコ厨が歴史を振り返る社交場になっとるわけですわ。これで10分以上継続してしまえば、見てるほうもすっかり楽しくなっちゃって「このままこの空気に皆で浸ろうぜ」って気分になっても何もおかしくないですね。
じゃあ新参は回れ右かといえば……僕はそうは思わない。「なんかよくわからんけど面白そうだ」って心理、あるじゃないですか。自分の知らないことでも、コメント盛り上がってて皆が楽しそうにしてれば混じりたくなるもんじゃないかと。放映当時にβ時代からずっと追ってるニコ厨がどれくらいいたかはわからないけれど、そういう心理で継続投票してた人はきっといるはず。
アイドルマスター CDTV風メドレー5/22ver 30〜1位‐ニコニコ動画(9)
なんでそう思うかというと、この07年5月に投稿されたCDTV風メドレーを見たときの自分の記憶に照らし合わせるとそうなるから。
当時これを見た僕は、それ以前からなんかアイマス系の動画おもしれえなあと思ってはいたけど、まだまだ自分の見てないすげえ動画がこんなにたくさんあるのかよ嘘だろ! と驚嘆して、既にガンガン巡回してると思しき人々の濃いコメントを見ても、引くどころかむしろより興味を刺激されたんですよね。ああそうか、こういうすげえ面白い「場」ができてるんだなと。
その場に参加してる人々が無邪気に楽しそうにしている姿は、知らない人に対しても大きな吸引力を発生させる。僕はそう見ています。
あるラインを超えてマニアックになってしまうとそれも難しくなるんでしょうが、たぶんこれは超えていない。だからセカチャクも完走した。
そういうことではないのかな。

ニコニコ動画は皆で動画を見る遊び場

俺がニコ厨にオススメするアイマス動画221本リスト
で、その後このシリーズはPart7まで続き、全部で1時間半以上にもなるんですけど、あまりに楽しくて一気に全部見ちゃいました。いや、このシリーズすごいよ! 流れる動画の並びではっきりと意思が感じられる作りになっているのがすげえ楽しい。
例えば、リアルタイムで見ているときの僕の反応を回想すると……。

「ああ、ここからノベル系動画パートなんだな。」
「おっとここからは嘘字幕か?」 
「今度はお洒落な映像系シリーズだ」
「次はストーリー性のあるPVだな!」
ということは次あたり○○来るんじゃね?

こんな感じですね。
「ここからは○○系です」なんて説明をしてテンポを悪くしなくても、流している動画が説明になっている。むしろ自主的にそれに気づかせることによって動画への参加意識が上がり、より楽しくなる。
複数人数で上記のようなツッコミ・予想をしながら見るのがむちゃくちゃ楽しかった! そして、ここはニコニコ動画ですから、別に無理して人を集めてこなくても、コメントによって擬似的にそれを実現できるわけ。実際に動画を見れば↑に書いた僕の反応ほぼそのまんまなコメントをみんなしてます。
説明文に「○○Pが作った」「○月○日投稿」などの細かい情報を書いていないのも、これは明らかに意図的と見るべきでしょう。あくまで動画を主に、限界までシンプルに。そのへんの情報は興味を持ってしまえばその人が勝手に調べる。


この動画を投稿したgouzouPは類似の紹介動画を大量に作っている方なのですけど、これまでの積み重ねの集大成を、しかと見せていただきました。いい遊び場だった、掛け値なしに。
お見事。

動画プレイヤー

*1:世界の新着動画の略