ひろゆきが語るニコニ広告の狙い...一方その頃Pixivは

ひろゆきがニコニ広告について語っています。色々と見所の多い面白い記事。

ゲーム実況は?

 「“御三家”以外の動画を目立たせたくて」と、ニワンゴ取締役の西村博之ひろゆき)氏は狙いを語る。御三家とは、「THE IDOLM@STER」「東方Project」と、初音ミクなどの「VOCALOID」。

初音ミクやアイマス“以外”を目立たせたい――ニコニ広告の狙い、ひろゆき氏に聞く (1/2) - ITmedia News

ふむ、ここで『ゲーム実況』が入ってこないのはなぜだろ? 『アニメ本編』に変わるニコニコのメインコンテンツと呼べるほどの規模になってるイメージでしたが、実際はそれほどでもない?

「御三家以外を目立たせたい」……実際には?

 ニコニ広告を使えば、これまで御三家の影に隠れて目立たなかった面白動画を、検索やランキングなどで目立たせることが可能。一般の人がニコ動を楽しむ新たな入り口になるのでは

初音ミクやアイマス“以外”を目立たせたい――ニコニ広告の狙い、ひろゆき氏に聞く (1/2) - ITmedia News

このへんに関してはちょっと疑問かなあ。

 ニコニ広告は、「評価する人の人口」ではなく「一人一人の評価の度合い」を重視した評価システム。これは評価する人一人当たりの「評価の濃さ」が重要になってくる。ぶっちゃけニコニコで御三家以上にファンが「濃い」ジャンルは無いだろう。だからニコニ広告でも御三家が上位に上がってくる。

ひろゆき 「“御三家”以外の動画を目立たせたくて」(キリッ - シイサイドの日記

どちらかというとこちらの方の意見に近いかな。
正直実感として、広告専用でリアルマネー投げようってほど濃い人はやっぱそのへんに偏るってほうが自然な流れに思える。
↓参考。ニコニ広告のタグクラウド

宣伝が多いものほど字が大きくなる。自分もやってる僕が突っ込むのもアレだけどアイマスファン自重(笑)

こちらがニコニ広告の累計ランキング。
や、もちろん政治動画とかこれまでに無かったタイプの方向に注目が集まるきっかけにはなるだろうから、狙いとしてはそれで十分なのかも。

ノイジーマイノリティを「晒す」意図

 ニコニ広告は、その動画を宣伝している人の数や、使ったポイントの量が「宣伝履歴」で分かるようになっている。例えば1人のユーザーが、竹島問題に関する動画に大量に広告ポイントを使い、ニコニ広告ランキング1位にした場合、宣伝履歴を見れば、実は1人が応援しているだけだったと分かる

初音ミクやアイマス“以外”を目立たせたい――ニコニ広告の狙い、ひろゆき氏に聞く (1/2) - ITmedia News

このへんは一見しただけだと意味がわからなかった。騒いでる人が実は少数であることを示すために広告にお金を払う少数を見せるってどういうことだろ……と思ったら、ニコニ広告内のデータを可視化することで大量に突っ込んでる人を「晒す」って意味かよ!
これ、サラっと言ってるけどけっこうえげつねえぞオイ(笑)。怒る人いるんじゃなかろうか。

 「バカが騒いでいて、『こいつらみんなバカ』と思われるのは嫌じゃないですか。荒らす人や騒ぐ人は100人に1人や1000人に1人。でもその人たちが大量に批判コメントして動画を炎上させると、まるでみんな批判コメントを書いているように見える。すごく少数の人がやっているのに、メディアに取り上げられて、より多くの人が集まって、という悪循環が起きている」

初音ミクやアイマス“以外”を目立たせたい――ニコニ広告の狙い、ひろゆき氏に聞く (1/2) - ITmedia News

まあニコニ広告が本当に効果あるかどうかはともかくとして、実際このへんに関しては確かにブログでもニコニコでも昔から何回も指摘されている大きな問題なわけで、多方面から対策が練られることには意味があると思う。少数だよそんなのみんなわかりきってるだろって言っても、定期的に可視化されないとやっぱイメージが固着しちゃうのは避けられないしね。

「お金では還元しない」

 制作者に還元する方法は、別に考えたいという。「制作者には何らかの配慮はしたいが、直接的なお金が渡る必要はないのでは。モチベーションが上がる形で還元する方法を考えたい」

初音ミクやアイマス“以外”を目立たせたい――ニコニ広告の狙い、ひろゆき氏に聞く (2/2) - ITmedia News

んで、やっぱ一番の注目ポイントはここですね。直接的にお金が渡る方法ではなく、モチベーションが上がる形での還元とはどういうことでしょうか。
今現在見えているのは動画の宣伝効果及び新しい評価の軸としての側面くらいですけど、「還元する方法を考える」ということは、それだけじゃなくて広告の収益から何かするってこと、だよね? 正直全然想像付かないのだけど、どうするつもりなんだろ。

一方その頃Pixivは


普通に投げ銭が導入されていた。

Q.pixivポイントを何かと交換することはできますか?
A.
ポイントをAmazonギフト券と交換することができます。
【ポイント通帳】から【Amazonギフト券との交換】へ進み、所定の手続きにて交換してください。ポイントは50000ppから10000pp単位で交換可能です。なお、交換レートは10000ppにつき900円となります。
例:50000ppを交換する→Amazonギフト券4500円

[http://www.pixiv.net/help.php#11-2:title=[pixiv] ヘルプ]

投げ銭を受け取れるのは導入されたばかりの「Pixivプレミアム」という有料サービスの参加者のみで、現金じゃなくてAmazonギフト券に変えられるだけなんですけど、これからどうなるのかはわかりません。というかAmazonギフト券に変えられるってだけでもニコニ広告と対比するとだいぶ直接的な還元と言えます。
僕はそれほど激しく巡回してないのですけど、どうもPixivでトップクラスな絵師って半端じゃないレベルで人気があるらしいので、この投げ銭システムが大いに機能したらブログのアフィリエイトなんかとは比べ物にならない額が動く可能性ありますよね。場合によっては「副業」と言うには大きすぎるほどの収入を得るセミプロのイラストレーターが出てきたり……? いやいや、そりゃちょっと気が早いかもしれませんが。


このニコニ広告とPixivの投げ銭を対比した話はこの間オフ会*1でいずみの(id:izumino)さんと色々話してたんですけど……現在の日本のユーザー参加型サイトの代表格と言えるニコニコ動画とPixivが『ユーザーへの還元』ということに対してここまで対称的な行動を取ったというのは、ちょっと興味深い話だとは思いませんか?

「制作者に直接お金が入ると、お金に親和性の高いものを作ってしまい、本当にいいものを作るモチベーションにはならないと思う」

初音ミクやアイマス“以外”を目立たせたい――ニコニ広告の狙い、ひろゆき氏に聞く (2/2) - ITmedia News

この記事のひろゆきの「直接還元すると逆につまらなくなるのでは」という話にも一理あるとは思いますが、記事には書いてないけどやっぱニコニコ動画は「MAD」という存在がむちゃくちゃでかいってので直接の還元システムは作りにくいってのも確実にあるよねえ? Pixivも二次創作が中心だろうけど、手描きの二次創作に金を払う文化ってのは同人誌等でもう定着してるしなあ。対称的と言っても同じことをニコニコ動画が出来るかっつったらそりゃ無理なわけで。
「もし同じことをするとしたら、オリジナルか著作権クリアの動画のみを扱う『クリエイター枠』アカウントとか作ったりするのでは」みたいな話も出てましたけど、個人的にはその可能性も薄いんじゃないかと思ったり。それやってもたぶんニコニコ動画じゃ人集まらないよね。現実的なのはVocaloidくらいかな。


Pixivの投げ銭がWebにおける『ユーザーへの還元』の成功例となるか、もしくはニコニコ動画が全く新しい形の何かを見せてくれるのか。注目していきたいところです。

余談

……まあ、もう少しミニマムな話をすると、「動画への評価軸が増えた」ってだけでニコニ広告は十分プラスなんじゃないかなあとは思います。
「もちろん動画コメントも再生数増えるのもうれしいけど、外部ブログで色々書いてもらえることでのモチベーションアップは正直かなり大きい」って意見は僕も製作者さんからたびたび聞く話。ブログの感想はニコニコのコメントで代わりは利くものじゃないし、逆もまた然り。
同様に「お金をかけて広告が打たれた」という反応も、他で代わりが利くものじゃないはずですから。

*1:というかもはや定例なのでオフ会と言っていいのかアレだけどw