『俺たちに翼はない』が予想をはるかに超えて面白かった件について
俺たちに翼はない -Limited Edition- Navel 2009-01-30 by G-Tools |
オールクリア。
むちゃくちゃおもしろかった。むちゃくちゃおもしろかった。
大事なことなので二回言った。
テンポのいいコメディパートはむちゃくちゃ笑える。群像劇といえるほどたくさん登場するキャラはのきなみ魅力的で、しかもそのキャラ同士がガンガン絡む。キャラクターごとの個別シナリオはどれも雰囲気が違う(中ニ病からガラの悪いチンピラまで!)面白さで、最初から最後まで飽きるポイントがほとんど存在しない。絵はかわいい、音楽も良い。あらためて思い返してもケチをつける箇所がほとんど見当たらない。
あえて文句のある点を挙げるとすれば、ラストのシナリオくらいかな。
2個目のOPを見た瞬間それまでのシナリオの伏線がブワッと頭に広がり「なるほど! これまでの全てが絡むんだな!」とユーザーに思わせて実際にそれを実現させている構成はとっても素晴らしいのだけど、駆け足すぎてちょっともったいない。綱渡りのように均衡を保っていた設定を爆発させる一番おいしいところなので、もっとしゃぶりつくしたかったかなーと……あー、でもそうすると同じボリュームのゲームがもう一本できちゃうから厳しいかも?
あとさらに欲を言えば、確かに綺麗にまとまってはいるけど、もう少し容赦の無い展開を最後に持ってくるかと予想していたので若干物足りない部分も無いではないですね。ここまでのレベルの物語ならラストのラストでもう一段階上の感動があってもいいと思う。繰り返し刷り込んできた「誰かをやっつけてやりたい気持ち」というフレーズを最後に変化させたシーンとか、かなりグッとくるものがありましたけど、それでももう少し!
ゲーム全体のパッケージとしてのバランスを考えれば、そうしないほうが正解なのかもしれないけど……それで『それ散る』になるくらいなら現状のほうが100万倍良いし。
それは舞い散る桜のように DVD-ROM版 BasiL 2002-08-09 by G-Tools |
SHUFFLE! ~Standard Edition~ Navel 2004-12-27 by G-Tools |
とにかく、数年に一度めぐり合えるかどうかの良作品です。やれ、いいからやれ。
関連記事
- 『俺たちに翼はない』――"真面目に不真面目"な力作 - アセティック・シルバー
- 『俺たちに翼はない』 この感想にネタバレはそんなにない - 好き好きほにゃらら超愛してる
- 『 Navel 「俺たちに翼はない」のシステム・演出について。』 - eichiの日記
- 『俺たちに翼はない』をお薦めするにやぶさかでない - やや最果てのブログ
- てきとうなもの 俺たちに翼はない レビュー
- ヤマカム2009年02月26日 「俺たちに翼はない」が最高にマーベラス(ネタバレ全開)
この記事よりもっと詳しくて良いレビューがたくさん。
ラストシナリオに関する文句はアセティック・シルバーのはしくんの意見にだいぶ近いかな? 僕のはあんまりコストかけずに勢いでダーっと書いた記事なので、向こうの論旨のほうがずっとまとまっているけど、だいたい同じこと言ってる感。
ただし結論だけ違う。僕はこれを面白いか? と聞かれたらノータイムで「面白い」と答えますね。もう一段階上に行けそうに見えるのは同意だけど、僕定義では「やりきっている」ことと「面白さ」はまた別の話になる。*1
個人的に「やりきれてないけどとんでもなく面白いもの」は「とことんまでやりきったもの」の上に来るんだよね。このへん『SWAN SONG』と『らくえん』がどっちも死ぬほど好きで、でもあえてどちらを上に持ってくるかだと『らくえん』になるあたりと近い話の気がする。
*1:向こうの記事はこのへんを「楽しいかどうか」で表現しているので、厳密には違わない