想定読者から外れた人間をも引きずり込むパワー

すっかり大人気作品となった「ゼロの使い魔」。実は5巻まで読んで放り出してたんですけど、このたび最新刊まで一気読みしました。
いやー、すんげえ幸せだった。普通に面白すぎるからもう読まなくていいかなあというなんとも理不尽な理由で放り出してたんですけど、14巻まで一気にまとめ読みしたらこれがまた想像以上に面白かった。
きっちり一巻ずつで話がまとまってるのは相変わらずだけど、それだけが延々続くライトノベルはもう読み飽きちゃったんだよね。その点『ゼロの使い魔』は着実に大きな物語も進んでる感触があるのがいい。これならすっかりラノベの新規開拓の気力が無くなってしまった僕でも引っぱられます。

海燕さん曰く「ウェルメイド」の作品。僕の語彙に無い言葉なのでニュアンス違うかもしれないけど、まあベタも突き詰めれば王道になるってことの見本のような作品ということでしょうか。


たぶん僕はもう、そういう作品で想定される読者からは外れてしまっているような気がするんですよ。例えば『ハルヒ』も『とらドラ』も『禁書目録』も、どれを読んでも普通におもしろいと思うけど、同時に続きはもう読まなくていいかな、とも思ってしまう。上の記事のコメント欄に挙がってる『僕と魔女式アポカリプス』や『文学少女』も読んでるけどほぼ同じ感想。こりゃあもう、本が悪いんじゃなくて僕がラノベのメインの読者層から外れちゃってると思うのが正しいんじゃないか。海燕さんが自分のアンテナがさび付いてるだけか? と広く問いたくなる気持ち、僕にもよーくわかる。

とはいえ全部が全部読めなくなっちゃったってわけじゃなく、id:skerenmiさんに執拗に薦められて読んだ『ディバイデット・フロント』とかは思いっきりストライクゾーンだったりするんだよね。こういうのが、きっと探せばまだいくらかはあるんでしょう。ならそれだけピックアップしてつまんでいけば何の問題も無いよね。
面白さがわからなくなったわけじゃないのに読まなくなるというのは妙な気分だけど、それはもうしょうがないことなんだろう。悲しいことだけど、ジャンルとしてのライトノベルは、もう僕の中では死んでしまったのだろう。


……でも、『ゼロの使い魔』はちょっと違うんですよね。自分のストライクゾーンからは外れてるのに、あまりに力が強いので無理矢理引っ張り込まれてる感触がある。
ああなんだ、これが楽しめるんなら「僕の中では死んでしまったんだろう」なんて諦めなくても大丈夫なんじゃないか? 全然死んでないんじゃないか? とポジティブな気持ちが沸いてきます。ヤマグチノボルすげえ。なぜかアマゾンの作者名が兎塚エイジ*1になってるけどすげえ。


とりあえず、似たようなパターンで読むの中断してた『フルメタル・パニック』の続きでも読もうかな。あと中村九郎