『傷物語』は変態という名の紳士だった。
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ぱんつぱんつ! だった。あとおっぱいおっぱい! でもあった。
……いや単にエロいだけじゃなくて、前作化物語同様、最初から最後まで腹を抱えて笑わせてくれる極上のエンターテインメントですよ?
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というわけで、冒頭からちょっとだけ引用してみる。
以下部分的にネタバレ注意。
「なんて言うか、さあ」
とん、とん、とん、と。
両足を揃えたまま、膝のクッションで跳ねるようにして、羽川は僕の方へと寄ってきた。
十歩あった互いの距離を、三歩の距離まで詰めてくる。
ちょっと近いくらいの距離だ。
「見られたくないものを隠すにしては、スカートって、どう考えてもセキュリティ低いよね。やっぱり、スパッツっていうファイアウォールが必要なのかな?」
「さ、さあ……」
そんな比喩で話されても困る。
じゃあ、僕はウイルスかよ。
『傷物語』-20Pより
「ま、まあ気にするなよ。見てないというのは嘘だけれど、影になってよくは見えなかったし」
これも嘘だが。
やばいくらいよく見えた。
「ふ、う、うん?」
羽川は首を傾げる。
「はっきり見えたんならそう言ってくれたほうが、いっそ女子的には気が楽なんだけれど」
「い、いや、そう言ってあげたいのは山々なんだけれど、しかし事実は偽れないからな」
「そうなんだ。偽れないんだ」
「ああ、気を楽にしてやれなくて残念だ。いっそ僕に嘘がつけたらと思うよ」
さっきから嘘しかついてない男の台詞である。
「およそ四ページに亘って、私のスカートの中身が細部に至るまで丁寧に描写されたように感じるのは、錯覚かな?」
「錯覚錯覚、超錯覚。さっきまで僕は、情緒豊かな美しい風景を描写していたところだよ」
これは微妙に嘘ではなかった。
同21P
もちろん、この直前、本当に風でスカートがめくれた描写をおよそ四ページに亘って続けているのは言うまでもない。
いや普通にストーリーもおもしろいよ。おもしろいのだが、全編通してぱんつとおっぱいに対する拘りが異常である。
変態という名の紳士と言わざるを得ない。