ニコマス界には魑魅魍魎が棲むといふ - 作者別まとめ「えこP」

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アイドルマスター M@STER FESTIVAL'08
さて、わりと今更感があるけどえこPの新作について。

M@STER PUNK! の続編っぽいタイトルだし、冒頭を見てRigerPの「L」みたいに前作から繋げる感じで入るのかなーと思ったんです……が、

動画を写していたモニターからカメラがずれていって、自作3DCGの世界へとシフト! いつものことですが、想像の斜め上。甘かった! えこPの本気の新作が簡単に想像できるようなもんのわけなかった!
しっかし相変わらず変態というか異次元というか……なんと形容していいのやら。映像のクオリティは見たとおり半端じゃないし、ノリのいい音楽と共にコミカルに動くキャラを見ていると、問答無用で楽しくなってくる動画でした。



ところで、この程度時間おいたくらいで今更感を感じるってのは感覚が麻痺してる証拠だよね。Twitter、ブックマーク、RSSなんかで収集しているおかげで情報が以前より入りやすくなっているけど、常に最新情報に追いついている人ってのはごくごく一部なわけで。普段からやり取りしている人がそういう人たちばかりだと、どうも感覚が麻痺しちゃっていかん。
え? まだ見てない人とかいるの? とか思われるかもしれませんが……いるいる、いるよ。あの内容であの再生数ってことは「アイマスわかんないから」避けてる人がけっこういるんじゃないかな。この作品は一般的なアイマスMADよりも「ねんどろいど」あたりと比べるのが適切かと。
【3DCG】くるっと・おどって・初音ミク【ねんどろいど】‐ニコニコ動画(SP1)
系統としてはここらへんだよね。相当多くの人のストライクゾーンに入ってくるタイプ。既にアイマスMAD好きな人が楽しむだけじゃなく、世界を外部に広げてしまえるパワーがある。


この強烈な新作を見て、「この作者は何者?」というのが気になっている人も多いのではないかと思います。そんなわけで、今日はアイマスMAD界に君臨し続けるえこPという異常なキャラクターを、改めてまとめて解説してみます。去年一回やってるんだけど、全然まとめきれてないし今じゃ作品数もたくさん増えているし、ずっとリメイクしたかったんですよ。

ニコマスオーパーツ

アイマスMADという言葉がまだあまり広がっておらず、ニコニコ全体のMADもムービーメイカーでアニメを切り張りしただけのものが主流だった時代。一人次元の違うところにいたのがえこPです。

分身したり目からビーム出したりステージを塗り替えたり。当時から言われていたことですが、今から振り返ってみればさらにはっきりとわかる。この人の作る動画はオーパーツでした。あの頃、僕らの目にはえこPが魔法使いにしか見えなかった。

ロケットガール完成で一区切り

そして、わかむらP、クーマPなどが登場しアイマスMADが未曾有の発展を遂げた7月。えこPは今でも語り継がれ、MAD素材としても利用される名作「ロケットガール」を発表します。

アイドルマスター ロケットガール 高槻やよい 「GO MY WAY!!」‐ニコニコ動画(SP1)

キャラクターを切り抜いて別背景で動かす、俗に「抜き」と呼ばれる技術が広まりはじめた矢先に、全編切り抜いて動かしてしまうという暴挙に挑戦。ステージを飛び出し、海で、山で、宇宙で、縦横無尽に楽しそうに踊るやよいを見せることで、その技術の行き着く先を示しました。

現在ではL4Uのカメラ固定バグを利用して自動で「抜く」方法が広まっているそう*1ですが、当時はワンフレームワンフレーム全部手動。えこPがブログに書いたその恐るべき作成方法の解説については、僕も以前記事を書きました。

この動画の完成によって、えこPの中で一区切りがついたのでしょうか。これ以降さらにフリーダムな方向へと突き進んで行くことになります。

ジャンル:えこP

このように、えこPは初期からいるベテランだけど、一つの方向性で積み重ねていくということはあまりやらず、常に新しいこと、全く想像の付かないことをやる人です。その「常に人の意表を付くようなものを作る、想像の斜め上を行く」という部分が一貫していると言えないことはないのかもしれません。

特に「ロケットガール」以降はその傾向がさらに顕著になり、もはや「音楽とダンスを見せる」というアイマスMADの基本的なスタイルにすら拘らないようになるのです。


アイドルがパンクのリズムに合わせてヘッドバンキングする「M@STER PUNKS!」。

アイドルマスター M@STER PUNKS!‐ニコニコ動画(SP1)
どこか懐かしさの漂う背景の中、記念写真のように静止したキャラクターの中で、ただ律子だけが表情を歪ませ叫ぶように歌う「踵鳴る」。

アイドルマスター 秋月律子 「踵鳴る」
自作フォントの宣伝として、ほぼフォントのみを映像素材としたPV「M@STER FONTS PV」

アイドルマスター っぽいフォントを作ってみた M@STER FONTS PV
そして、今回の新作。デフォルメされた3Dのアイマスキャラたちが楽しそうにタテノリのロックミュージックを演奏する「M@STER FESTIVAL'08」。


「今回は映像の○○を工夫してみました」とかじゃないんですね。動画のジャンルそのものが毎回バラバラ。ファンは疑問に思ったことでしょう、一体えこPの動画はどんなジャンルだと思えばいいんだ? と。答えはこうです。
「決まってるだろ。ジャンルは「えこP」だよ。」

*1:といっても、今でもロケガほどの動画にはそうそうお目にかかれない