埋もれる獅子、目覚める - 作者別まとめ「時雨P」
さて、かなりお久しぶりの作者別まとめ。今回は前々からまとめて何か書きたいとず〜っと思ってた「時雨P」を取り上げます。
このコーナー覚えてる人いるかな? 正直作者増えすぎだわ古くからおっかけてる人は作品増えすぎで網羅しきれないわで、もう定期的に作者別でまとめるのはつらくなっちゃったんですけど……いやー、時雨Pの新作ですよ新作。アレは凄かった。あんなもん見せられたら、これはもう全力で煽らざるを得ないよね。
後でもう一回詳しく書くけど、この時点で気になった人は何も言わずに見に行って来なさいな。
非常に多作で安定した実力の作者
さて、タイトルの「埋もれる獅子」とはどういう意味か。まずこのマイリストをご覧ください。
去年の7月デビューのPなんですが、投稿日付に注目。一週間に複数本のペースでUPし続けてますね。早いときは3日おきくらい。時雨Pの大きな特徴として、この強烈な手の早さがあります。ニコマスには数ヶ月に一本力作を投下して話題をさらうPもけっこう多いですが、時雨Pはどちらかというと発表しまくって着実に知名度を上げつつ実力も付けてきたタイプ。ニコニコ動画らしい作者さんです。
しかし、多作だからといって数うちゃあたる式に当たりはずれが激しいわけではありません。
えーと、例えばですね。
ある動画の冒頭、ちょっと民族音楽風の音源に合わせて実写とテキストを挿入したバッチリなタイトル出し。ここで視聴者は「おおっ?」と目を惹かれるはず。
そして、歌に入ってからも、
歌詞を動画の中に取り込むタイプの演出で、歌詞の内容と間に挿入するアニメや写真の内容を合わせています。そちらに目がひかれたかと思ったらその直後にカメラが大きく動いて、動きが鮮明に頭に残る。
ラスト付近は、月明かりをバックに踊るあずささんの直後、タンッタンタタタタンッっと早くなるリズムに合わせて異国の写真を高速で挿入して一気に盛り上がる、と。
こんな感じで、雰囲気良し、演出良し、ケレン味たっぷり。たった2分少々の間に色々と詰め込まれてます。こういう魅せどころをはっきり決めてくるタイプの作品はニコニコでもウケがいいはずだし、隙無いよね。
- 非会員用外部プレイヤー:http://d.hatena.ne.jp/video/niconico/sm1398716
でもなぜか3000再生もされとらんのですな。
マイリストから埋もれてる作品適当に拾ってみればよーくわかりますが、この人こんなのばっかです。
たびたび週マスに出てくる人気作者でありながら、なぜかiM@S動画カタログ*1の常連でもあるという。そして別に埋もれてる作品のクオリティが特別低いわけでもないと。
それで付いたあだ名が「埋もれる獅子」。きっと、「この人の作品いっつもいいよなー、タグから巡ってみるか……っておいおいなんじゃこりゃ!」と思った人が複数出たことからこういうあだ名が付いたんでしょう。実際のところ、多作なPだとこういうパターンかなり多いのです。埋もれる作品がどうこう、P名補正がどうこうというのがニコマスでたびたび話題にされるのはそういう事情もある。
えーと、このあだ名本人は嫌がってるらしいし今じゃそう呼ぶ人もあんまりいないみたいなので説明するかどうか迷ったんですけど、時雨Pをまとめるとなると言及しないわけにも……ごめんなさい。
代表的な千早好き作者の一人
だいたいニコマスのPは10人の中からお気に入りのキャラ1〜2人くらいに偏ったMADを作る人が多く、有名どころだと美希のwhoPみたいな専属Pも複数存在します。全キャラ平等に満遍なく作ってるような守備範囲の広い人はかなり少ない。
時雨Pもその例に漏れず、千早びいきのPの代表格の一人として有名です。
例えばアイマスオールスターの名作の一つのこれも、しっかりオールスターでありつつ露骨に千早の出番を贔屓してたりする。
千早→他のキャラ→千早→他のキャラみたいな感じで、なんか演出挟むたびに千早が出てくる洗脳動画。
余談ですけど、アイマスオールスター動画はアイマスMADの楽しさがぱんぱんに詰まった決定版的な名作が非常に多い。アイマスMAD初心者はここから入ってお気に入りのキャラを見つけるといいかもしれない。
そんなわけで千早単体のMADが当然のごとく多いのですが、決定的に千早好きPの印象を強くしたのはこの企画あたりからじゃないかな。
時雨Pと千早の物語。 SSまとめ公開中 →http://shigure0421.blog120.fc2.com/blog-entry-344.html
マイリスト -to the wonderful new world-‐ニコニコ動画(SP1)"
千早のSSと絡めて動画を連作で投稿してしまうという。
ここから「ああ、あの千早の……」と皆の記憶に刻まれることになったのかも。whoP*2ばりの愛すべき馬鹿野郎として。
このシリーズの中で千早のファーストアルバムとして位置づけられた「wing」は、アイマス公式音源MADの最高傑作の一つだと思う。普段は短い時間でケレン味たっぷりの演出を見せるタイプの動画が多い時雨Pが、A、B合わせて計14分もの千早公式音源のメドレー動画をほぼシンクロ+カメラワークのみで見せることに挑戦して、成功している。
千早好きなら言うまでもなく、ダンスが気持ちいい系統のアイマスMADが好きな人も必見の動画ですね。
文字の使い方が快感
そんな時雨Pですが、その演出のクセが「閣下(かっこ)いい」系統の春香MADと非常に親和性が高く、キャラの人気とあいまって一番再生されてるのは春香のMADだったりします。長いこと時雨P作品の中で僕の一番のお気に入りだったこの作品もその一つ。*3
動画全部を通して見たときの楽しさ、気持ちよさ、見所の多さなら最初に紹介した動画やその他の時雨P作品でいくらでもこれを超えるものはあるでしょう。けど、一瞬の快感ならこれに勝るものはなかなか見当たらない。
この作品は要するに最初のタイトル出しと、サビの「頂点へ」の流れを見せるための動画と言っていいと思う。僕こういう一瞬に全てをかけるタイプの演出大好きなんですよね。脳汁出まくります。
こういう僕のツボをついたMADを良く作ってくれるので、時雨P大好きなんですよ。例えばつい最近↑の動画を超えて脳内時雨Pランキングを上書きしたこれとかも、
アイマス×東京事変。まさにパンキッシュゴシックの有効活用!
若干過剰気味なくらいにグラグラ揺れるカメラと文字とエフェクトが音楽の雰囲気にあってて、もー信じられないくらい僕好み。
上下左右にぶれるカメラからタイトルが出たとこまでで、あっさりノックアウト。最後まで見ても絶対後悔しないことを確信しました。
この三人が着てるパンキッシュな衣装が先月出たDLCのパンキッシュゴシックです。この衣装はかなり好きなので、これからもこんな感じでじゃんじゃん有効活用されて欲しい。
一番の注目はやっぱりこの「叱ってくれ」からモノクロの豪雨への繋ぎの場面かな。これスクショで抜いてもたぶん伝わらないかなあ。たまんないですよ。
で、これだけ強烈な作品とほぼ同時に、こんな動画も発表してるんですよね。
どういうコンセプトの動画なのかは実際に見て確認して欲しい。グッと来ます。
千早の悲しそうな、笑顔。
上の東京事変のとはまただいぶ雰囲気違うけど、こういうセンチメンタルなのも大好きなんだよなあ。
3つのリスペクト作品を経てリメイクされた『Bad Apple!!』
ようやく最初の本題に戻ってこれました。今日はこの話をしたかったから書き始めたんだけど、時雨Pのお気に入り作品はまとめて取り上げるとキリが無い……(笑)。
多作で知られる時雨P作品で最も再生されている動画がこの旧「Bad Apple!!」です。
全て変えるのなら「黒にする」、もし変われるのなら「白になる」。
今も衰えてはいませんが、当時は今以上にはっきりと黒春香/白春香が意識されて大人気だった時期です。この驚異の歌詞シンクロを利用した動画を実力派の時雨Pが作ればそりゃあ人気出ないはずないわけで。特にラストの「白になる」の一瞬の輝きは強烈なものがあって、ゾクっと来ますね。
この動画は多くの視聴者だけでなく複数の作者にも影響を与えたようで、リスペクト動画が3つも作られています。
まず一番手がシラカワP。こちらの作品は以前も一度取り上げました。
様々な絵の中に春香を配置することで、どんな色にも染まる春香が表現されています。Stage6が無くなってるのが惜しい!
この動画の「白になる」は元動画の構図を意識して、目の色を変えることでさらに印象付けています。
次はケロロP作。
がぶ呑み氏作の春香の黒目を塗りつぶした動画を元に作られています。
これも一番最後の「白になる」を強く意識しているのがわかります。
で、一番新しいリスペクト動画が水無月Pのこれ。これがまた凄い。
意図的な音割れも使われているエフェクトも元動画を明らかに意識しつつ、全く同じではない。これ↑二つの動画と違って、ラストの「白になる」に集約するような構成になっていないんだよね。そりゃリメイクするならあそこに焦点を当てなきゃ駄目だろ! と思ってたもんだから、なるほどこういう手もあるのかとびっくりさせられました。
天海春香 -Bad Apple!! 〜My name is... 〜
そして、3つのリスペクト動画を経て、本家時雨Pの「Bad Apple!!」がリメイク!
言うまでもなく単にリメイク前のが長くなっただけじゃありません。全く新しい作品に生まれ変わっています。
なんか色々書こうと思ったんだけど、もう一言、「脳内時雨Pランキングがまたもや塗り替えられました」だけじゃ駄目ですか? というか……脳内アイマスMADランキングも更新したかもなあこりゃ。いくらなんでも好みすぎる。
以上、時雨Pまとめでした。
今日はかっこかわいい千早と春香の表情がたくさん貼れて楽しかったです。
最後に時雨Pのブログへリンク貼っておこう。