アイマスMAD作者別まとめ「わかむらP」


累計100万再生記念!自作アイドルマスターMADのメガミックスメドレー+新作4本(6曲)を加えてお送りします。
アイドル全員登場、公式曲全曲を素材として使っています。


■他のMADはこちら→ http://www.nicovideo.jp/mylist/1274133/1399500
■プレイリストと解説はこちら→http://wakamura.livedoor.biz/recycle01.html
※削除前も含んだ累計です。※今回収録に漏れた曲は次回以降に入る予定です。

ついこないだ紹介した「島谷あずさ」の熱もさめやらぬうちにまたまた長時間の名作が来ました! RidgerPに続いて今度はわかむらPがやってくれた。新作付きのベストアルバムみたいな構成で、過去作を利用している部分も全体的に音声をリミックスして作り直されています。約16分間わかむらP尽くし。こりゃたまらん。↑のプレイリストと解説もほんとにベストアルバム付属の解説みたいになってて良い感じで、もう至れり尽くせり。
見所は全編だから全部見ろ! 特に曲と曲の繋ぎ部分はこういう複数曲MADの醍醐味だから、飛ばして見る人も繋ぎは見ないと駄目! と言いたいところですが、あえて注目した部分を挙げるなら11:00からの「12.FEVER (Sbb Mix)」ですね。

なんとドクターマリオのリミックス! 解説によると「箸休め的に入れてみた」そうですけど、いやいや、これいいよ! とっても気持ちいいシンクロ系の作品になってる。それに、わかむらPがこういう力の抜けたネタに手を出したことが僕的には事件でした(笑)。これ単品で出してもけっこううけると思うんだけどなあ。まあ、キャラ的にこういう一発ネタはジェバンニ合戦のときか長い作品のときくらいしかやらなさそうだけど。
あと見逃せないのが最後の「※今回収録に漏れた曲は次回以降に入る予定です。」という作者コメント。次回以降も作るつもりらしいですよ? いやー、うれしいなあ、幸せだなあ。


そんなこんなで、うれしくなってわかむらPの過去作品を巡ってたりしたんですけど、考えてみればうちの作者別まとめでまだわかむらP取り上げてないことに気づきました。いや、作品自体は何回も何回も取り上げてるし、なんせしーなPとわかむらPは人気がありすぎるからあえてまとめなくてもいいかなーとか思ってたんですが……こんなふうに自らまとめられてしまうと僕もそろそろやらなきゃならんかなあという気分に(笑)。というわけで、勢いで今日はわかむらPまとめいきますよ!

ニコニコでは元々『きしめんコードギアス』シリーズで人気のMAD作者

*1
きしめんコードギアス』はアニメ『コードギアス』をエロゲのデモ風に演出したニコニコの超定番MADの一つ*2。ニコニコ組曲に「kiss my lips」が入ってるのは、まああのシリーズの影響でしょう。僕もわかむらPを最初に取り上げた時点でうわーコードきしめんの人だコードきしめんの人だアイマスMADに黒船襲来だー! と盛り上がってました(笑)。コメントでもけっこう指摘されていて、わかむらPにもプレッシャーになってたみたい。「動画を静止画のエロゲ風に演出する」ことで大人気になった人が、アイマスでもダンスをメインにもってこずに静止画を軸にしたPSPSでブレイクしたのは自然な流れと言えるでしょう。

実はデビュー作は酷評されている

いまでこそアイマスMAD界の頂点を担うPの一人として名高いわかむらPですが、最初から順調に評価されていたわけではありません。ブレイクしたのが『PSPS』なのでそれがデビュー作と勘違いされがちだけど、実はこれがわかむらPのアイマスMADデビュー作。
全編にエレクトリックなエフェクトをかけたこの作品は、確かにそれまでのアイマスMADにはあまり見かけられないもので、ああ別ジャンルから来た人だな、というのが良くわかる作品ではあったのですが……いかんせんアイマスMADの大きな強みである「ダンスを音楽に合わせる気持ちよさ」を活用しきれてないのが痛かったんでしょう。発表された当時はそうとう酷評されてました。まあ週刊アイマスにもランクインしてたし、全く人気が無かったというわけじゃないんですが。僕もPSPSより先にこっちをチェックはしてたんだけど、「そんな酷評しなくても、処女作でこれなら十分凄いじゃないか。でもまあ、次作に期待」*3という感じで特に取り上げようとは思わなかった。
実際そこまで酷評されるような酷い作品じゃないんですが、名が売れてる人で期待が大きかったぶん反動がコメントに出たんでしょうね。現在のコメントではそこまで酷評はされていません。

パーフェクトスター・パーフェクトスタイルの衝撃

そして、2作目「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」。もうこれについては詳しい説明はいらないんじゃないかな。わかむらPの代名詞であると共に、アイマスMAD全体の代表作の一つと言って良いでしょう。今でもアイマスMADファンの間で語りぐさとなる「あの」7月第2週を制した作品です。「キューティーハニー」「太陽のあずさ」「PSPS」、一週遅れて「ロケットガール」が立て続けに発表されたあのとき、アイマスMADというジャンルは確実にひとつの壁を越えました。


一作目でエフェクトに頼りすぎで酷評されたわかむらPは当時のアイマスMADの流行に合わせ、綺麗なダンスのシンクロを武器に人気を得たのでしょうか? そうではないのです。なんと、さらにインパクトの強いエフェクトを投入してそれまでの壁をぶっ壊してしまった。ダンスのシンクロや、カメラワークの気持ちよさとはまた軸の違う「ダンスの合間に静止画が綺麗な音ハメと共に挿入される気持ちよさ」というものをアイマスMAD界に広めた作品がPSPSなのです。
特に冒頭の静止画の回転キャラ*4が歌い出す→タイトル→ダンス開始の一連の流れは今見ても神がかってると思う。

「抜き」が得意な人というイメージだけど……

実はわかむらPが最初に長時間の「抜き」*5に挑戦したこの作品はやっぱりわかむらP作品にしてはあまりウケてません(笑)。当時はこの手の長時間の「抜き」を使う人は他にえこPくらいしかいなかったんですけどねえ。まあそのえこPがこれ以前に発表した「ロケットガール」が凄すぎたので、「抜き」のインパクトだけでは評価されづらかったのかもしれない。
これもとても綺麗な作品だとは思うのだけど、視聴者をドキッとさせて激しく反応せずにいられないような「あざとさ」が足りないから、いまいち大ヒットはしなかったんでしょう。たまにはこういう落ち着いた作品も良いとは思うのですが。


――(最初はここで力尽きて中断してました。)
さて、中途半端なところで中断してて申し訳ない。続きいきます。
わかむらPの得意技として有名な「抜き」ですが、キャラを切り抜いて別背景で動かしている時間は実はそれほど長くないです。*6「千夜千夢」と「Yeah! めっちゃホリディ」でだいたいこの技術の使い方を試したあとは、どんどんスポット的に細かく投入する方向へ行ってるように感じます。

ここらへんわかむらP作品の中では比較的地味なポジションですが、「抜きの人」というイメージが出来たのはこの二つがあったからじゃないかな。
「比較的ダンスのシンクロは苦手」とされているわかむらPですが、このへんでダンスのシンクロ率もどんどん上がってきてるのもなにげに重要だったり。「Yeah! めっちゃホリディ」とかかなり綺麗にシンクロしてるので、繰り返し試聴するのが気持ちいい動画です。これ以降も「シンクロは苦手」というイメージが残ってるのは、見せ所をはっきり決めてくる演出のクセによるものでしょう。
あと、「Yeah! めっちゃホリディ」は黒⇔白という属性から一周回って、ノーマル春香に人気が出始めるきっかけとなった動画の一つでもありますね。このへんから「春香さんが衣装で悩んでいるそうです」へ繋がる流れで、「閣下、まるで本物のアイドルみたいです」というイメージから「あれ、ていうか春香さん普通にかわいくね?」というイメージになっていくのは皆様ご存じの通り。


そして、これ以降わかむらPは「抜き」をスポット的に投入した作品を次々に発表していきます。

これらの作品は切り抜いて動かしている時間自体は先の2作品よりもはるかに短いです。しかし、加工された部分が強烈に印象に残る構成になってるんですよね。ここらへん以降のわかむらP作品には、必ずといっていいほど「感嘆のコメントで画面が埋め尽くされる」ポイントが存在するようになります。動画の「キモ」をより意識した作風へ。
それは例えば「Inside of mind」なら横になった千早の静止画や写真のフィルムのような演出であり、


「寝・逃・げでリセット」なら歌詞とのシンクロを意識した登校風の静止画や、七色の残像であったり、


「歌舞伎町の女王」なら、ギターを持った律子や、腕の動きに合わせて衣装が変更される演出であったりするのです。

「絵を効果的に見せる」ということにかけては、もはや右に出るものがいないほど安定した作風ですね。

Kosmos, Cosmosで音声加工が華開く

このように安定した作風が確立する裏で、ちょっとずつ発展していってるものがありました。それは「音声の加工」です。
強烈に印象に残る絵の加工技術のせいで目立ちませんが、↑で挙げている作品の中には音声も加工されているものが多く含まれているのです*7
実はけっこう早い段階で音声加工をメインにした作品も投稿されているんですよね。

しかし、これまたあんまりウケてないのです(笑)。これ、存在自体知らなかったって人多そう。「WAKAMURA RECYCLE」でも「新作だ」ってコメ付いてたし。
アイマスMAD初投稿作品は酷評される。長時間の「抜き」に初挑戦した作品も派手にはウケていない。そして、最初の音声メインの作品も若干埋もれ気味……「天才」と賞賛されることも多いわかむらPですが、実は新しいことに挑戦したときには毎回毎回ちょっと躓いてるんだよね(笑)。むしろその着実な成長ぶり*8を考えると、秀才タイプと言ったほうが正しいのかも。まあ平均レベルが異様に高いので、あくまで「ちょっと躓く」だけでけして完全に埋もれるというわけじゃないのですが。

ほんと、プロだよなあこの人。芸術家というよりも、職人と言うよりも、この人にはプロって表現が似合うと思う。こだわりどころと切り捨てるところをきっちりと区別している

Cさん曰く「プロ」だそうです。うんうん、よくわかる。素人が時間を湯水のごとく使った「才能の無駄遣い」というのはニコニコ動画の大きな魅力なんですが、この人に限っては「才能の有効活用」というタグがしっくりくる。こうして順番に作品を見ていくと、ウケる部分、ウケない部分、自分がこだわりたい部分、切り捨てても良い部分を全て計算した上で動画を作ってるんだろうなあってのが伝わってくるんだよね。まさにプロの姿勢だ。


閑話休題
音声加工の話です。派手な動画加工の裏でちょっとづつアピールを続けていた音声加工技術なんですが、「Kosmos, Cosmos」にてついに作品のメインにのし上がります。

MAの新曲の後半を大幅にアレンジしたオリジナルフルバージョン! 先に述べた作品の「キモ」を音声に持ってきました。この作品は完全に音楽が主で動画が従。「ここの加工すげえー!」じゃなくて「このアレンジすげえー!」でコメントを埋め付くすことに成功しています。わかむらPにしてみたら、してやったりというところでしょう。

そして最新作から見えてくる方向性

そして、一番最初に紹介した最新作に話は戻ります。
まあ、ここまで来ればわかりますね。これ以降のわかむらPの進もうとしている道は、「動画加工」と「音声加工」両方のハイレベルな融合でしょう。たぶん動画と音声それぞれ、さらには両方を複合した鳥肌ポイントを複数作るって方向へ行こうとしてるんじゃないかと。
「WAKAMURA RECYCLE」はダンスのシンクロ、音声加工、そして今までどおりの動画加工を全て複合させた方向へ行くぞ! というわかむらPのメッセージが込められている作品だと受け取りました。ええ、誰がなんといおうと僕はそう受け取りました。


いやー、これからのわかむらP作品のさらなる進化を思うと、期待で胸がはちきれそうですね!

余談 わかむらPは「国際ニコニコ映画祭」の選考メンバー

ニコニコユーザーの皆様から動画を募集し、審査員会の厳選なる選考にてオモシロイ作品を選んでいく極めてハートフルなお祭りです。世間的に映画祭というと映画やドラマのようないわゆる ち ゃ ん と し た作品を対象としていますが、国際ニコニコ映画祭では、オタ芸などの一発芸や偶然捉えたハプニング映像さらには意味不明なシュール動画などなど、応募規約に沿った動画であれば何でも作品として扱います。
さらに、国際ニコニコ映画祭実行委員会は、選ばれた作品を映画館で上映してしまおうと無謀なことも検討中!
皆様のニコニコテイスト溢れる作品をお待ちしております。

RC2と同時に発表されたニコニコの企画「国際ニコニコ映画祭」。ちゃんと賞金も出てなんと優秀作品は映画館での上映も企画されているとか。どのような作品が選ばれるのかいまから楽しみですね。ちょうど応募期間*9まっただ中なので、応募作品を必死で作ってる方もけっこうおられるのではないでしょうか。
いきなり全然関係ない話をはじめるなと思われるかもしれませんが、関係あるんです。なんとわかむらP、この国際ニコニコ映画祭のユーザーゲスト枠の審査員に選ばれています。現在発表されている段階では唯一のユーザーゲスト枠の審査員ですね。わかむらPを審査員に選ぶとはニコニコの中の人もなかなか粋なことしてくれます。*10
*11

家族の白い目を浴びながらも日曜大工ならぬ日曜動画をつくりニコニコで、せこせこ公開中。普段はアートディレクター。

わかむらPの職業はアートディレクターだそうですよ?


というかブログmixiの紹介文で書かれてますが、わかむらP、静止画MADやエロゲOPのデモ屋もやってたそうです。空いた時間にDJもやってるとか。えこPと同じで普通に元プロ*12ですね。ああ、やはりそうか! という感じ。人づてに聞いた限りじゃ静止画MAD界隈からのアイマスMAD界隈への人の流入はかなり珍しいそうですが、まあわかむらPは最初っから上手すぎたしなあ。むしろ技術的なバックボーンのない完全な素人がいきなりあんなもん作ったって言われたらそれはそれで引くぞ(笑)。
僕は元々静止画MADやエロゲOP/EDもけっこう見るほうなので、この情報見てさらに親近感が増しました。いや、まあずっとDOM専で見る専なので全然立場は違うんですけど、思い入れって部分でね。もしかしたらもう何回もわかむらP作の静止画MADやエロゲデモを見てるのかも? 確率としては十分ありうるよな。さすがに作風だけでは予測つかないしなー。うわー、気になるー!

追記(11/7)

誤字脱字修正の他、ちょこちょこ修正して追記しました。

*1:権利者削除くらってるので、わかむらP本人はもうコードギアスMADはUPしてません。見たい人はステ6版か再UP版を探しましょう

*2:エロゲ本編風のおまけも凄かった

*3:えらそうに(笑)。

*4:ご本人曰く「回転寿司」(笑)

*5:「キャラのダンスを切り抜きして別背景と合わせる」という手法。PSPSの時点で別背景とあわせる手法は使ってますが、本格的なのはここからかと。

*6:まあ、全編切り抜きで一曲作っちゃった「ロケットガール」が異常なんですけどね(笑)。

*7:ていうかほとんど? 原曲と聞き比べたことないから、どれがどれだけ加工されているのかいまいちわかんない。あくまで動画が主でおとなしめの加工が多いみたいだし

*8:新しいことに挑戦したら2回目には必ずといっていいほどブレイクする。きしめんコードギアスも2ndが本格的なブレイクだった。

*9:11/1〜11/11

*10:ちなみに、先日も紹介しましたユーザー側が開催した初のアイマスMAD大会である「底辺P祭り」の審査員もやってました。もしかしたらあれで審査員イメージがついたから選ばれたのかもね。http://www.nicovideo.jp/mylist/80768/2346706

*11:画像引用:はじCさん

*12:むしろ現役のプロ?