全非モテ推奨?
どんなに成功しても、その成功の価値を信じることができない。愛されれば愛されるほど、その愛への不信がふくらんでいく。かれは骨の髄まで「非モテ」的である。
「クワガタさんは、とても汚くて、みじめだから、だいすき。」
――『SWAN SONG』 小池希美
おお、『SWAN SONG』が注目されている。うれしい。やっぱああいうとんがったシーンを持ってくると感銘を受ける人はけっこういるんですね。瀬戸口廉也は文章が上手いので、名シーンの文章をいくつか抜き出すのがほんとは一番楽な宣伝だったりするんだよな。とはいえ、それでは単なるネタバレになってしまうのが難しいところ。今回の引用元の海燕さんのエントリでギリギリってところかな。
ブクマコメントなどを見てると勘違いしている人もいそうなので捕捉しておくと、クワガタは別にこれで救われるわけではありません。
彼にはどうしてもこの少女の言葉を信じることなどできない。では、少女の言葉を信じることさえできれば彼は救われたのでしょうか? ……実はそうでもないのです。自分が「汚くてみじめ」だという認識から脱出できない限り、彼が本当の意味で救われる事はない。汚くてみじめな自分をそのままで愛してくれる少女の存在など、彼にとっては救いでもなんでもない。
「全非モテ推奨ソフト」というのは多分に釣り……は言い過ぎとしてもキャッチコピー的なタイトルであって、エントリを書いた海燕さん自身このゲームを非モテ*1がプレイして喜ぶとは信じてないんじゃないかな。ぶっちゃけ、そんな甘っちょろいゲームではない。
ただ、「非モテ的」であることの恐ろしさや悲しみを浮き彫りにするという点で、「全非モテ推奨ソフト」というキャッチコピーはあながち間違いではないです。自分が非モテで誰にも認められないということを嘆いている人は、クワガタに感情移入してプレイしてみるといいと思うよ。
きっと激しく感情を揺り動かされることでしょう。揺り動かされる方向がプラスマイナスどっちなのかはともかくとして。
キラ☆キラ 特設ページ(『SWAN SONG』シナリオライター瀬戸口廉也の新作情報)
- 出版社/メーカー: Le.Chocolat.
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*1:というふうに自分をカテゴライズして嘆いている人