Prismaticallization プレイ日記 その2

SuperLite 1500シリーズ Prismaticallization

SuperLite 1500シリーズ Prismaticallization

ま、みゆはクリアできるんだ、みゆは。ほかのキャラはもっとむずかしいから。


――エンディングまで投げるんじゃない。

いやもっとむずかしいとかありえないですから! それじゃ何百週回ってもクリアできないじゃないかっ! ……まあ、実際何百週も回らないとクリアできないんだろうけど。
というわけで、投げるのを我慢するためにあっさりと挫折して攻略見てプレイし始めました。しかし攻略見ちゃうとこれまでの苦労が嘘のようにサクサクとストーリーが進みますね。バラバラにしか認識できなかったシナリオがようやく一つに繋がって見えてきた感じがします。
 
繋がりを意識してプレイできるようになったから気付いたんだけど、ループに入るタイミングの意地の悪さが素晴らしいですね。ようやくちょっと進んだか? って思わせて何か重要なことをヒロインがするかと思わせた寸前にプツッ! ようやくたどり着いたEDでさえ、これからエピローグの説明がもうちょっとあるのかなと思わせておいて急にプツッ! 「プツッ」っていうか、実際には効果音も何もなく暗転していきなり初期画面に戻るから、一瞬なんか操作ミスしてリセットかけちゃったのかと勘違いしそうになります(笑)。期待して見てるところで切られるから、その直前のヒロインのグラフィックと思わせぶりな態度が強烈に脳に刻みつけられるんですよね。
 
それにしても、これを発売当初に普通のギャルゲを期待して買ってしまった人は本当にお気の毒としか言いようがない。だってさ、ギャルゲなのに誰も主人公に惚れないんだぜ? まだ全員クリアはしてないけど、そんな甘ったるい気配は皆無。依存や信頼はあっても恋愛は無い。完全に無い。
 
調べる気にもならないくらいあきらかだけど、きっとこのゲームは全然売れなかったんじゃないかと思う。そして、それは正しいことだとも思う。快適に楽しくプレイして貰おうって気持ちより、自分のやりたいことをあからさまに優先させてんだもんな。商業作品としてはあるまじきことでしょ。
もう少しシステムをユーザーフレンドリーにして、内容ももうちょっとだけでもプレイヤーに媚びる部分があれば、一部の人に絶賛されて「隠れた傑作」という立場になって、僕も今「もっと認められるべき」とか言ってたかもしれませんね。しかし、さすがにこれはちょっと擁護しようがないぞ(笑)。
まあ、それでもやっぱりさらに一部の人にはウケたからこそ、DCとPS両方で発売されて廉価版も出てるんでしょう。どんなにアレな作品でも、ちゃんと受け取るべき人のとこには届くってのはある意味希望だよね。
 
なんかぼろくそ言ってますが、プレイしてて「ああ、これきっと作ってて楽しかったんだろうなあ」って想像したらこっちまで楽しい気分になってくるんですよね。いいんですよ、たまにはこういうふうに好き勝手やる人がいたってさ。
僕は好きだ。僕以外にだって、駄目だけど好きだって言う人はいる。このゲームを作った制作者なら、きっとそれだけで満足なはず。というか満足しろ。こんなもん作っといてそれ以上を求めるのは贅沢だ(笑)。
 

ところで、これ書いてて思ったんですが「空の境界」ってまずベストセラーといって問題のない売上げを記録してますよね? 僕はあの小説好き*1だし、好きな作家が認められたってことで素直にうれしいと思ってます。けど*2仮に「月姫」が存在せず、あれが講談社でのデビュー作で同じ状況だったら、たぶん納得してなかったと思う。だってあれ、プロの仕事じゃないでしょう。多数に読まれること考えて書かれたものじゃない。そんなもんが認められちゃったら、真面目に自分のやりたいことと需要のバランス考えてやってる人がかわいそうだよ。仮に初めて読んだのが「空の境界」だったとしても好きにはなれただろうけど*3、同時に「ああ、こりゃ売れないわな」とも思ったでしょう。
 
だから、(確かそういう人けっこういたと思うんだけど)月姫やFateは知らないけどよく売れてて話題になってるから「空の境界」を読んだって人が感じる釈然としない気持ちはよく理解できます。そりゃいきなりあれ読んで理解できないやつは読解力が足りないとか理不尽なこと言われたら、怒るよな。

空の境界 上 (講談社ノベルス)

空の境界 上 (講談社ノベルス)

空の境界 下 (講談社ノベルス)

空の境界 下 (講談社ノベルス)

*1:同人版も講談社版も持ってるよ

*2:こんな仮定は意味もないしありえないんだけど

*3:まあ最後まで挫折せずに読めたらね