橙乃ままれインタビューの一部を贅沢に公開しちゃうよ。(12438文字)

夏コミまで一週間を切りましたね。現地に来る予定の方も、通販待ちの方も、新刊をお届けするまでもう少々お待ちください。
さて、その当サークルの夏コミ新刊『敷居の部屋の最前線』にて、巻頭特集として収録しております「橙乃ままれロングインタビュー」。


本日はなんと! このインタビュー前半を抜粋して先行公開してしまいます!


インタビュー全体からすれば3〜4割程度になりますが、それだけで既に約1万2千文字という大ボリューム。新刊が待ちきれないというあなたも、興味はあるけど……と悩んでいるあなたも、『最前線』を一部体験してみてはいかがでしょうか?

なお、この記事は新刊にも寄稿をいただいている海燕さんのブロマガ「ゆるオタ残念教養講座」との同時公開となっております。

それでは、どうぞ!


自己紹介と対談のコンセプト

レスター伯: 今回は橙乃ままれさん(以下、ままれさん)をゲストにお招きして、座談会形式で今回の同人誌のコンセプトである「WEB創作とその創作が行われる場」について語って行きたいと思います。
なぜ、ゲストがままれさんかというと、この本でメインに取り扱う「小説家になろう」、そして2chのVIPSSの両方において作品を発表した経歴をもち、さらに現在は商業作家として活躍されているということで、これ以上の適任はいないだろうと声をかけさせていただきました。
最初に、簡単に参加者の自己紹介を。今回進行役を務めさせていただく、レスター伯です。サークル敷居亭の編集・DTP担当をやっています。なろうはそこそこ、VIPSSは咲SSを中心に結構読んでます。
ままれ: 橙乃ままれです。いわゆるネット小説家になるのかな。聖フランシスコ幼稚園卒業の自動筆記マクロです。
敷居:サークル敷居亭代表の敷居です。だいたい3〜4年前くらいから小説家になろうにドはまりして、今も常時何かしらよんでいる「なろうジャンキー」です。大方の例に漏れずハマったきっかけは『ログ・ホライズン』が連載されていたからなので、おおむねままれさんのせいですね。
VIPSSに関してはレスターさんとさっすまにしょっちゅう話を聞く程度の知識です。
さっすま: SS読みまくりVIPPERのさっすまです。ままれさんのSSにレスしたこともある程度にSS中毒で、これまで1万作くらいは読んでいて当時SSも書いてた、ということで呼ばれました。
レスター伯: 全体をまとめると、VIP・なろうで創作活動をしてきたままれさんに対して、重度のSS読みのさっすま、同じく重度のなろう読みの敷居さん、そして両方ともそれなりに読んでいるレスター伯が色々と聞こうという流れになっています。
ままれ: ありがとうございます。なんだか書けばば書くほどボロがでるイキモノだけど、本日はお招きいただいたんで頑張って色々説明したり喋ったりするよ! チャーハン作るよ!
レスター伯: 座談会の構成としては、前半をVIP時代、後半を『まおゆう』?『ログホラ』、そして商業作家活動を予定しています。
ままれ: しかしなんですね(枕) VIPSSやなろうで、こういう種類の同人誌が出るとか、画期的ですね。
レスター伯: 僕らがVIPSSやなろうのジャンキーで、「好きな物を同人誌にしよう」というコンセプトですね。そして、「あわよくば、大好きな作家さんにインタビューしよう」という欲望丸出しの企画でございますw

ままれさんのVIPPER

レスター伯: では、早速本題に入っていきたいと思います。最初に聞いておきたいんですが、ままれさんはぶっちゃけどれくらいVIPPERだったんですか?
ままれ: 「どれくらいVIPPER」って難しい質問ですよね。でも3getロボに戦いを挑める程度の能力持ちです。
敷居: 高速で2getできるレベル、と。
さっすま: 2get自動マクロだったのか……
レスター伯: なんでこの質問をしたかというと、ままれさんが書いてた頃のVIPSSって、SSではあるんだけど、それ以前にVIPのスレなんですよね。つまり、VIPで遊ぶのが目的で、SSは楽しむための手段だったんじゃないかと、初期のSS読んでて思ったんです。
ままれ: 創作活動というのも変な話ですけれど、学生時代は、嘘新聞とか作るの好きだったんですね。学校の廊下に張ってある壁新聞のパチモンを作ってゲリラ的にハリ逃げするとか。その流れで同人にもすこしやってたり。広い意味では、遊びですよね。
なので、遊び場としてのVIP ってのは、ある意味、色々楽だったんですよ。ルール無用の残虐ファイトなので。
レスター伯: ルール無用の何でもありっては、VIPSSの最大の魅力。
さっすま: 楽しめればなんでもいいし、面白くなければ何の反応もない、というわかりやすさですね。
ままれ: そうですね。簡単に説明すると、あそこは芸をする場所なんですよね。SS というのはその大きな芸、大道芸の一種の釣り芸であって、全部ではない。
敷居: 「ここは小説を書く場である」って前提がそもそも無くて、人が広場にわらわら集まってきて色々芸をしていたら、ちょっとした小話や紙芝居をはじめる人もいるよね、というイメージですね。
ままれ: そういうイメージですね。
あの声が聞こえてどうにもならない。
これは自分が立てたスレの1つなんですけれど、SSだっていう断りはないんですね。「精神失調気味になってしまった1がみんなに自分の半生を語りつつ悩みを相談する」という体のスレなんですけど。
さっすま: 僕このスレ知ってますね。保守してたヤシの中に僕もいますねこれ。
ままれ: うわーいヾ(?∀?;)ノ
レスター伯:さっすまが保守勢w
ままれ: まぁ、1が色々語りながらスレのみんなと雑談というか興隆をしていくスレなんですが、オチとしては、これ、太宰治の「トカトントン」を現代風に翻案してリライトしたものなんですよ。つまり、「太宰治を現代風に語ってみた」というネタスレです。
敷居:電車男』はいつぐらいの時代だったかな? 「事実を小説のように語る/小説を事実のように語る」ってのをスレでやるってのが定着したのは『電車男』周りですよね。ままれさんの頃はさすがに完全に定着した後なんでしょうけど。
ままれ: いや定着したとは言え、実はこの手の実話と創作のアイの子みたいな話ってなかなか難しいんですよ。最近半年くらい前? ゲームセンターで病弱な女の子と友だちになるスレがありましたね。
敷居: ありましたね。
ままれ: お話の筋はシンプルじゃないと多数に訴求できないし、それでいてある程度リアリティが確保されていないと嘘くさいし、釣るのはなかなかむずかしいです。
敷居: 最初はノリでみんなついてきてくれても、有名になると本気で怒る人も出てくるから、さじ加減が難しそう。
ままれ: ゲームセンターの少女は拡がり過ぎちゃったんで後から賛否両論ありましたけど、VIPPER 的には、あれを「実話だと思ったダマされた!」って怒るのは、非常に野暮なんですよね。いいからおまえVIP 辞めろ級の野暮。
さっすま: 「お前ら遊びに本気になっちゃってどうすんの?wもういいから半年ROMれ」という名無しの構え。
敷居: 「このお話はフィクションです」って言わないことが「粋」だよねって文化なわけですからね。
ままれ: そうですね。そもそも実話かフィクションかでお前の中に生まれた感動が変わるのか? 読んでいる自分のリテラシーで真偽判断くらいしろ、自分の立ち位置くらい自分で決めろよ、というのがVIP なので。このへんの突き放しというか、自己責任的な雰囲気が殺気言った「ルール無用な居心地良さ」ですね。
レスター伯: VIPにどっぷりって以外の人が読む機会が増えたってのも大きいですよね。
ままれ: VIP以外の人が読む機会が増えたという点に関しては、やっぱりまとめサイト文化が大きく影響しているんでしょうね。

まおゆう以前のVIPでのSS作品について

レスター伯: VIP文化の変容の話は後にまわして、ままれさんがVIPで書いてきたSSの話にうつりましょうか
ままれ: はい(正座
敷居: そうですね。「ぶっちゃけどのへんから活動してたんですか?」とか凄い聞きたそうな顔をしている現地人(さっすま)もいることだし
レスター伯: 一番わかりやすいのは、ニコニコ大百科にまとめられてる作品群ですね。
ままれ: そうですね、ここに並んでいるのは書きました。
レスター伯: 古いのだと兄「ハンバーグだよ! ハンバーグっ!」(以下、腹ぺこ兄)が2008年の夏くらいですが、大体これくらいの時期からSS形式でスレを建ててた感じですか? ちなみに、僕はこの腹ぺこ兄が大好きです^^
さっすま: 最初からすごい「あ、またスレ立ててる」ってわかりやすかったんで、保守してましたね。
ままれ: VIPSS は2007 年くらいからはじめたとおもいます。実を言うと、その時点では卓ゲ板ですでにコテハンをやっていて、そっちでのSS 修行からはいってきたんですよね。そちらのコテハンは2002 年くらいからだったと思います。
レスター伯: じゃあ、VIPSSとしてまとめられてるのは、卓ゲ板での活動開始6年くらいたった後って感じですか。
ままれ: そうですね
レスター伯: じゃあ、腹ぺこ兄SSからちょっと話していきたいと思いますが、とりあえず「妹がかわいい」と「料理がうまそう」と、作品の魅力が非常にわかりやすいですよね。
ままれ: 当時、「敬語妹」っていう「新ジャンル」がありました。腹ぺこ兄のSS はその新ジャンルを単品で立ててみたものですね。
さっすま: 普通の「姉」とか「妹」だと見えないイメージを拓くみたいなのが流行った時期ありましたね。
レスター伯: 「新ジャンル」というテンプレと、料理っていうお題を使って、シチュエーションコメディーっぽく淡々と展開していく極めてシンプルな構成ですよね。
ままれ: そうですね、シチュエーションコメディーなので、通常は、オチとかクライマックスって言う概念はありません。新ジャンルでは、「1=スレ建て主」がテーマなりキャラなりを決めて、参加者が自由に1レス?数レスの短いSS を投げつけるのが主流でした。
敷居: キャラクターの魅力を不純物を除いて抽出している感じがしますね。
レスター伯: それが、スレ民の反応が返ってくる中で、だんだんキャラクター付けが固まっていったり、新キャラが出たり。
ままれ: そうですね。相性が良いサブ特徴が追加されていったり。「男」「女」「男友」なんてキャラネームはその頃からの名残ですね。汎用登場人物。
敷居:ままれさんの本の後書きを読んでると、出てくる「妹」の話題がまさにVIPのキャラネームそのものに見えるんですよねw
ままれ: 「妹」ですからね!
敷居: うん間違いない。
レスター伯: そんな「妹」とか「妹友」のキャラが徐々に固まっていく中で 最終的に甘酸っぱい兄妹ラブコメの物語になっていくというのは、すごくドライブ感があってたまらないですね。
ままれ: これはすごくツッコミに助けられた記憶があります。クソ暑い夏の部屋で書いていましたね。
敷居: そこの切り替わり、けっこう舵取りに勇気が要りそうですよね。シチュエーションラブコメのみに徹すれば失踪しても問題ないけど、物語がはじまってしまうと終わりを望む欲求が生まれるので。
ままれ: うん、それはすごく勇気が必要で、その見切りって後々まで尾を引くんですよ…… たとえば、この腹ぺこ兄SSって、一回目にスレを立てた時は完走できなかったんですね。
敷居: 物語なんざいらん。どうせいつ消えるかわからんのだからいらんことすんなってスレ民も当然いますよね、たぶんですけど
レスター伯: 逆に、もっと恋愛させろ的なプレッシャーもあるし。
ままれ: キャラクターを消費する場合、物語性ってのは必ずしも必要ではないんですよね。シチュエーションで十分だから。でもキャラクターに愛着がわいたら、オチはつけたくなる。でぺこはそういう意味では、二回目立て直してみんなに受け入れてもらえて完走できたパターンに属します。
敷居: 保守するスレ民と主の共同作業ですね
レスター伯: 新ジャンルで書き始めて、スレが伸びていく中で物語としてドライブがかかって完結を迎える。そういうままれさんのSSの特徴は、腹ぺこ兄で一応確立されてる感じはしますね。
ままれ: 「Web 上の小話」であるってのと、やりとりの中で完走する「VIPSS」って、やっぱり同じ人が書いても別物にならざるを得ないのですよね。
さっすま: もしドライブかからなくても、乗っ取りがあるんで完結はするけど別物になる、という。
敷居: 乗っ取りも面白い文化だよね。失踪したなら乗っ取られても文句言うんじゃねーぜ。終わったほうがみんな幸せ。確かにそのとおり。
レスター伯: この後のままれさんのSSを見て行くと、○○妹シリーズとか、同僚女とか、イメージをつけてしまってから始めるという形式になりますよね。最初からある程度ストーリーの方向性が決まっていて、当然キャラ立てがはやくなり、ストーリーを進めようとする意図を感じるようになるというか。
ままれ: 妹シリーズは、あれはある種の「お題X についての研究レポート」としてのSS なんですよ。さっきの腹ぺこ兄もそうなんですけれど、あれも最初は敬語妹の自主研究レポだったんですね。
レスター伯: 研究テーマを発表したら、教授(VIPPER)に添削されて「書き直せ」といわれると。
ままれ: 同僚女も実は一回完走できなくて。腹ぺこ兄と同僚女も、他と同様に研究発表として第一弾を書いたんですけれど、それに失敗するんですよ。
さっすま: 保守できなかったんですよねー同僚女は…… もう一回やらないかなって待ちわびた記憶がありますね。
ままれ: 失敗する原因は、物語方向に内圧がありすぎるから。
レスター伯: 物語方向に内圧がかかりすぎると、保守がうまくいかないと。
ままれ: 保守と言うよりも、動きのあるお話を書きたくなっちゃって、それで失敗するんですね。萌えシーンだけが存在するシチュエーションコメディーでいられなくなる。物語をやるためにはサブキャラをだしたり展開が必要だけど、それは、萌えキャラを味わうという目的においては、不純物だから、Vipの萌えSSとしては失敗作品になってしまう。
さらに当時のVIP において物語性があるSS ってのは少数派でどちらかというとあんまり見ない方向性だったんですよ。
レスター伯: そう考えると、「dat落ち」と「さる(猿)」があるVIPでSSを完走するのってすごく縛りプレーですよねw そういう厳しい環境で物語性のあるSSを投下するのって、一種のゲームみたいな感覚とかあったんですか?
ままれ: ゲーム感覚はもうちょっと後で、2008 年の10 月ですよね。9月頃には一回へこんであきらめがあって、それはどうも、自分はシチュエーションコメディの、ばらばらのシーンをショットガンにするSS は向いてない、そういう種類の話は下手だぞ、って判った。
でも腹ぺこ兄とかが望外に完走できたので、「良しこの路線で行こう!」とおもったのが10 月あたりだったと思います。短くのは苦手なんで、長めの話を書こう。その方が自分は向いてるんだって諦めたのがこの時期ですね。
敷居: 繋げていく方向に舵を切ろう、と
ままれ: そうですそうです。で、この時点で、作り方というか気持ちはすごく切り替わって世界変わったんですよ。
レスター伯:式子内親王』とかは元ネタがあるってのもあるし、なによりままれさんの萌えポイントが感じられるのがいいなと思います。
さっすま: 「こういうのいいだろ?」っていうのが前面に出てきてる感じ。
ままれ: あれもすごくわがままで書きましたよね。10月以降は開き直りがあるように思います、自分で読んでも。
敷居: 本来はシチュエーションをバラまくのが新ジャンルの王道だけど、あえて新ジャンルから出発して邪道を行こう、と開き直ったってことですね。物語として見るとそれは別に邪道ではないですけど。
レスター伯: その開き直りが結果的に、VIPの一次創作SSとして新しい領域を切り開いていってる感じしますね。
ままれ: さっすまさんは保守してくれてたって言う話なんですが、このころ、少数ですけど、個人として認識してもらったりもしたんですね。「おまえこないだXX をかいてたやつだろ」みたいな。
さっすま: そうですね、10レスあればわかるようになってました。
ままれ: そのせいですこしほっとして、居場所が出来た気持ちになったのも、あったとおもいます。短いSSで即座に結論出さないでもいいや、ちょっと長めの書いても許されるだろうって。
レスター伯: ここで、作家性みたいなものの萌芽が感じられるのが面白いですね。
ままれ: 最初に手に入れた作家性だったかもしれません。
さっすま: コテハンなくてもこの人は面白い、っていうのがわかるんで保守する、みたいなところはありますね。
ままれ: VIP では「作家性がない=匿名」がデフォルトでスタートしますよね。作家性を許さない文化だから、その中で見つけるのに時間がかかった。
レスター伯: その一方で、同僚女みたいに、レスの中で伸びてきたキャラが物語を加速させるのもいいですね。C男は明らかにスレ民の反応の結果、面白いキャラになっていて、それが同僚女のストーリーに大きな影響を与えてると感じられる。ああ、こういう展開するのがVIPSSの魅力だなあとすごく思います。
ままれ: C男はそうですよね。あとはあれだ、ゴージャス松野
レスター伯: 松野w
ままれ: 書いた時点でゴージャス松野さんって言う方を自分は知らなかったんですよ。でもそんな指摘されると、やっぱり、ぐぐるじゃないですか。ぐぐって情報を仕入れると、その人のキャラになっちゃうんですよねw
さっすま: わかっちゃいますもんねw
レスター伯: やっぱりグーグル先生って偉大だわ。
ままれ: 偉大なんですよ、ぐぐる先生w 「オイスターバーで女性を軟派する」とかとか、「蛇皮の靴はいてる」とか、無駄にキャラが濃くなるんですよね。
レスター伯: 松野がああいうキャラにならないと、あの結末のカタルシスないですもんね。個人的に同僚女はシフトチェンジしたままれさんのスタイルと、VIPのレスの科学反応がいい方向に向かっていてすごく好きです。
ままれ: 女僧侶はそういう意味では吹っ切れた後のSS で、「長いSSを書いてもどうやらいいんだ。それなら読んでくれる人と往復書簡しながら書こう」って考えて書き始めました。
レスター伯: 女僧侶はかなり挑戦的ですよね。VIPSSの中に、もう一つVIP(作中掲示板)を建てて、そこのレスを拾う。構造としてはメタだけど、そのメタさがすごくVIPっぽい。
敷居: ああ、それ今のSSにも踏襲されてるやり方ですね。
レスター伯: 別記事で言及しますが、咲SSの「カンちゃんシリーズ」がまさにメタな構造を取り入れた傑作ですね。ただ、咲SSの場合は取り込むのがVIPじゃなくてなんJなのが面白いんだけどw
ままれ: 僧侶ちゃんが掲示板のツッコミにおろおろするのが書いてて楽しかったし、おかげでずいぶんかわいくなったと思います。保守の人との掛け合いでキャラ語りが出来るのがよいですね。
敷居: なろうでも掲示板捏造ものって一時期流行りましたけど、VIPの場合ほんとにリアルタイムで掲示板使ってそれを連載するわけですからねー。
レスター伯: スレ民との一体感がやばいですよね。みんなが女僧侶を誘惑しようとする。ああ、こいつらどうしようもねえVIPPERだってw
ままれ: そうそう、スゴロク場にモーニングスターがあるとかw 幼女のミルクが美味しいとかw どうしようもないVIPノリで進めていけました。
さっすま: もう完全に「俺らの僧侶ちゃん」なんですよね。
ままれ: ああ、まさに「俺らの僧侶ちゃん」でしたね。
レスター伯: VIPを楽しんでる空気が作中から感じられるし、VIPPERが自然とモブとして作品中に登場してる。
さっすま: 掲示板系SSでオイシイのは、安価投げられなくても勝手に参加してる気になれるんですよね。そういう部分で、書く方も突発で安価投げるより物語やるならそのほうが楽できるし、読む僕等もすごく楽しい。
ままれ: 本当に応援してくれるんですよ。
レスター伯: 後、女僧侶の面白いところは勇者ですよね。引き籠もりで一人で冒険する勇者をもう一人の視点キャラとして持ってきてる。
ままれ: 2メインストーリーで書いてみました。ドン・ウィンズロウの影響ですね。
レスター伯: 女僧侶ってDQ3がベースですけど、女僧侶の方はみんなでわいわいやりながらプレーしてる感覚で、勇者の方はDQ3の勇者が持ってる暗い部分を引き受けるキャラになってる。で、この二つが重なって後半のカタルシスがすごいことになる。
ままれ: 女僧侶は「掲示板越しにみんなのアドバイスを受けられる能力+そういったみんなのアドバイスがないとダメな弱者」でキャラをデザインしました。勇者はその待遇で「ひとりでも答えがわかる攻略本という能力+みんなから支えてもらわないでも勝てる強者」っていう対比でした。助けてもらわなくても勝てるキャラ、という構造で書いたら、暗いやつになっちゃいましたよね。
レスター伯: 攻略本があるからこそ、本来の結末に救いがないのが勇者にはわかるんですよね。でも、女盗賊とのエピソードを通じて、勇者が「攻略本=本来の結末」を乗り越えていく。で、最後の「俺とりゅーおーではんぶんこするって約束したんだっ」に繋がったときに、もう、鳥肌がマッハに。
ままれ: あれも本当に応援感謝で。たぶん、VIPじゃなきゃ、書けなかったお話だと思います。ひとりじゃ無理だったかなぁと思う。
レスター伯:女僧侶のがんばりとか、そういう応援が反映されていていいんですよね。なんていうか、勇者の姿にあらたな方向性を切り開いていったままれさんの姿がかさなるというか。そして、女僧侶の時点でまおゆうの物語としての射程が浮かびあがってくるんですよね。
さっすま: 保守勢の僕らからしたら応援してる気はないんですよねw ただ読みたい。完結したら「また待ってるよ」とか言うし、もう次の話を見たいんですね。
ままれ: 書き手も不完全なのですよね。物語やキャラ人気は、こっちが意図したのとは別の受容のされかたがあるんです。その「ずれ」っていうのは、もちろんその物語にもプラスなんですけれど、それ以上に、書き手の引き出し増やしてくれると思います。保守の人の誤解は次回とか次々回に向けた非常に大きな財産なんですよ。
ちょっと前後しちゃうんですけれど、「ルンデルハウス+五十鈴」」って、VIP やってなかったら書けなかったキャラクターだと断言できますね。
さっすま: あー納得w
レスター伯: なんていうかままれさんスタイルのVIPSSは作品内でもドライブかかるけど、作品間を通じてもドライブがかかってきてるんですよね。これはVIPっていう場で、VIPと必ずしも相性が良くないスタイルのSSを書き続けて、人気を得てきたからこその重みというか。今回の対談にむけて過去作を読み返してて一番感じました。

VIPのシステムについて

レスター伯: さて、そろそろ話としてはまおゆうに繋がって来たんですが、その前に、ちょっとだけVIPのシステム面についても話を聞いてみたいなあと思います
さっすま: まおゆう辺りだともう保守も人が多かったんですけど、その辺りのスレが落ちる、落ちないの意識ってどうだったんですか?
ままれ: 季節とか時間の影響が大きいですよね。腹ぺこ兄は夏休みだから深夜でも保守してくれる人が沢山いました。まおゆうはシリーズ化したんでまた少し別ですけれど、妹シリーズとかは、時間によってはすぐ落ちますよね。
さっすま: そうですよね、まおゆうとか女同僚より前の作品だと何人いるんだってくらい少なくて睡眠時間との戦いだったんですけど、スレ主としてはどうだったのかという。
ままれ: あと、ログで「さる」って発言があると思うんですけれど……
レスター伯: さるはきついですよね。後、規制。
さっすま: さるさんとの戦いはつらい、本当に。
ままれ: そう、さるが辛い。
さっすま: 保守も人数がいないとほんとどうしようもないんで、落ちるとほんとガッカリしてました。
ままれ: 落とさないためには「速いペースで連続投下しなきゃならない→連続投下するとさる発生→書き込めなくなる→落ちるのを指をくわえて見つめる」。この黄金コンボが当時のVIPの醍醐味でしたねw
さっすま: 「お前何落としてんだよー、寝てんじゃねーよ」って保守してる方もさる食らいながら画面の前でブーメラン投げてるw
敷居: まあもともと物語を連載するようには出来ていないわけで。だからこそ面白くなったんだって話はここまでさんざん聞いてきたので仕方ないことではありますね。
ままれ: さるにせよ、1スレの容量にせよ、間隔にせよ、VIP って決して静的な状況じゃないんですよ。季節と時間の話をしましたけれど、夏休みになると参加年齢が下がってお客さんが多くなるとか、金曜だからサラリーマンが多いとか。
 そういう状況とか潮目があって、それをにらみながら「この調子なら、明後日くらいにスレ立てるか?」なんていう部分を含めてVIP でSS スレを立てるというゲームなんですね(ここでの話はあくまで2008 年の状況で、現在ではかなり話が違います)。
敷居: ああ、潮目を読んで投稿して、落ちたらゲームオーバーと。
レスター伯: それと関連して、パー速とか外部スレに移行することについてはどう思いますか?
ままれ: そういう意味では、パー速とか外部サイトっていうのも、潮目の一部なのでそれそのものには良い悪いは無くて、納得できるものですね。
レスター伯: そこまで含めてゲームだと。
ままれ: ただその一方で、「おちやすい」というのが一種の締め切り装置として作用してた側面もあって、外部サイトの安全な環境にうつったら、エタり易くなるって言うのも事実だと思います。
レスター伯: 「エタる」はなろうにしても、VIPにしてもキーワードですよね。
さっすま: そういう側面もあって、ままれさん自身はVIPのパートスレってどう考えてたんですか? 住民の中では「パートスレはないだろ」っていうのも多くいましたけど。
ままれ: 個人的にはVIP でパート化OK 派でしたね。2008 年でひろゆきもOK だしていましたし。当時パートスレ狩りみたいなのもあって、あれはヒステリックで、「祭りとしてつまらない」っておもっていました。でも、まおゆうに限定すれば、あれは引っ越して正解だったと思います。この手の判断の多くは後知恵なんで難しいんですが……。
レスター伯: 場としての許容量の問題もありますよね。まおゆうは明らかにでかくなりすぎましたよね。
ままれ: まおゆうについては、おそらく引っ越したおかげで、橙乃がみんなに育ててもらう環境として、よりよくなった。
さっすま: パー速、製作速報だと、もともと読んでる人だけが移動しますもんね。

他者のSS作品について

レスター伯: もう一つ話をまおゆうに移す前に聞いておきたいのは、「他のSSをどれくらい読んでた(レスして)ました? 2次創作SSを読んでました(書いてました)?」ということです。
ままれ: 他のSS は相当読んでましたよ。自分に書けないギャグものとか不条理ものが好きでした。
レスター伯: VIPだと書き手は読み手ですもんね、乗っ取り含めて
敷居: もちろんなろうでもそう 書き手=読み手。
ままれ: 「妹 インディアンけつ拭かないっ!」とかかなりブチギレでしたね。
さっすま: 懐かしいw
敷居: 二次SSはどうですか?
ままれ: 二次創作SSにかんしては、当時、オタとして薄くなってた時期で、最新のアニメとかみてなかったんですね。なので、当時の最新は弱かったです。逆に、ドラえもん系の二次SSとかはマメに読んでましたね。
レスター伯: ちょうど2次SSが増えてきた時期ですもんね。後、まとめサイト
さっすま: ドラえもんSS(のびた「……ごめんね」)拾ってきたやで?。当時だとここらへんだったような記憶が。
ままれ: うわあああ。そうそう、こういうの!
レスター伯: 「さっすま VIPPER 有能 保守乙」(唐突ななんJ文化の乱入)
敷居: レットイットビーを口ずさむジャイアンがwww
ままれ: えーっと、これに関する話は、後でまとめてします。ログホラの話の時にでも触れたいと思います。
敷居: あとVIP以前に何か創作活動はしてました?
ままれ: 2ch 以前はですから学生時代の活動とか、同人ですよね。草の根BBS でも創作系はやってました。2ch 以降は、卓上ゲーム板、TRPG関係でコテハンだったんですね。
敷居: やっぱり直接受け手と関わるものが圧倒的に多いですね
ままれ: TRPG 関係のコテハンの芸の一種で「あれもおまえか!」っていうのが個人マイブームで、落語ののっぺらぼう的に、「あちこちに逃げていくんだけど、逃げた先にものっぺらぼうが……」っていう芸ですね。
 ですからその芸を完遂するために2ch のあちこちの板でTRPG とは別に別々のコテ活動を十種類くらいやろうとしていて、ママレードサンドはそのひとつですね。
敷居: 受け手、読み手との関わりが今のままれさんを作ったんだなあ。

まおゆうについて

レスター伯: ということで、ここから後半戦。やっぱりままれさんにとっての最大の契機であろう『まおゆう』について聞いていこうと思います。


〜〜(以下本誌に続く)〜〜



はい、ここまで! 後半戦は『敷居の部屋の最前線』本誌をお楽しみに!


(追記:敷居亭編集会議室ログ公開は編集が難しすぎて断念することになりました! すいません!)

「自然なのが不自然」 - 人力ボカロ『Level5 -judgelight-』 ドリ音P&KIDP&tiaraPインタビュー!


皆さん先週上がった強烈な人力ボカロと『とある科学の超電磁砲』を合わせたアレ、もうご覧になられましたか? まだ見てないならとりあえずすぐにみにいくべし。すごいよー。

人力ボカロについてはもうすっかりメジャーになってきたので説明不要かとは思いますが、知らない人は大百科参照のこと。

VOCALOIDは、自分で音階と歌詞を入力すれば機械処理で勝手にソフトが歌ってくれるが、中には「自分の好きなキャラクターに歌ってもらいたい!」「発売まで待ちきれない!」等の衝動に駆られるときがある。

そんな強い意志を抱いた賢者が、“本来歌うことを想定せずに収録した声”もしくは“既に完成した歌”などから歌詞および音階を切り出して、切り張り編集などをして歌わせた、まさに“力技”である作品につけられるタグである。

人力VOCALOIDとは(ジンリキボーカロイドとは)-ニコニコ大百科

↑の動画で人力ボカロを担当しているドリ音Pは、本来は”力技”であるはずの人力ボカロをまるで力技でないかのように自然に歌わせてしまう職人として、既にかなり話題になっている方。今回も、まさに「自然なのが不自然」としか形容のしようがないブツ。
元々ニコニコ動画で人気のあるレールガンMADに超絶人力ボカロが結びついただけで十分破壊力は高いのですが、この作品は動画編集にKIDP、捏造絵にtiaraP、音源のMIXにhikoPと、総勢4名の職人が自分の一番得意な部分を持ち寄って2分間にぶち込むという、自重のかけらもない合作動画になっています。
案の定、ここしばらくのアイマス系動画では考えられないくらいの勢いで再生されているようで。既に14万再生オーバー。冒頭で「まだ見てない人は」とか書いてますが、とっくの昔に見ている人も多いでしょう。


よって、今回の更新は既に見た人向けのものということで……ドリ音PとKIDPとtiaraPのインタビュー取ってきたよ!
このとんでもない合作がどのような経緯で作られることになったのか? 知られざる人力ボーカロイドの実態とは? というかあの立ち絵なにどうなってんの? そんな様々な疑問に作者自身が答えてくれました。なかなか興味深い内容になっていると思いますので、ちょっと長いけど、よかったらご覧くださいな。


では早速、どーぞ!

インタビュー開始

(※敬称略)
敷居: どうもはじめましてー。今日は例の大好評の合作動画について、一発インタビューってやつをかまさせていただけやせんか、とまあそんな流れで声をかけさせていただきました。しばらくお時間取らせますけど、よろしくお願いします。
KID: よろしくお願いします。
tiara: こんばんわー。
ドリ音: こんばんわー。
敷居: では、まず担当パートの確認から。人力ボカロ担当がドリ音P。
ドリ音: です
敷居: 動画編集がKIDP。レールガン×アイマス捏造絵作成がtiaraP、音源のMIXがhikoPという分担ですね。
KID: いえい
tiara: はーい
敷居: おっけーですね。ではお三方にこれから『【人力VOCALOID】Level5 -judgelight-【とある科学の超電磁砲】』の話を色々と聞いていきたいと思います。
【人力VOCALOID】Level5 -judgelight-【とある科学の超電磁砲】‐ニコニコ動画(9)

MIXヤバい、超ヤバい

敷居: 実は僕、先にKIDさんに音源だけ聞かされててかなり期待はしてたんですが……実際投稿されたものを見たらそりゃもう期待以上で興奮しましたねえ。
ドリ音: 音に関してはMIXの影響も大きいですね〜。
敷居: MIX担当はhikoP。
ドリ音: 今まで、MIXというものをよくわからずに適当にエフェクトかけて投稿してたんですよ。でもそれだと、他の人の投稿してる人力ボーカロイドに比べると音が汚くて。一体どうやったら綺麗な音になるんだろ?と思ってIRCで相談してみたのが最初です。
敷居: そこにたまたまhikoPが?
ドリ音: ええ、晒したときにIRCにいた数人の方が試しにってことでMIXしてくれたんですが、そのなかにhikoPがいまして。元音源いじめるくらい弄くりまわしてたのを聴いて、面白いな〜と。
敷居: ふむふむ。ミキサーの重要性は現在「歌ってみた」あたりでも相当広まってきてるみたいですよね。
ドリ音: MIXやばいですよ〜、全然音が違うので。
KID: 最初の方はもっと高音がかなり来るミックスでしたね。
敷居: 外から見ると同じ「音屋さん」ってイメージを持たれがちだとは思うんですが、人力ボーカロイドを作るノウハウと音源をMIXするノウハウは全然違う?
ドリ音: 正直いって、人力以外はど素人ですからw
KID: まあ、音にも工程が別れてて、作詞する人、作曲する人、編曲する人、最終的にミックス、マスタリングする人……みたいな感じでそれぞれ、必要な技術の種類が違うんですよ。
ドリ音: ミックス専門で仕事してる人もいますね。
敷居: 複数にわたってやる人もいるけど、ドリ音Pは人力に特化した職人だった、ということですか。
ドリ音: 完全に特化ですねえ。ちょっと難しい音楽用語とかよくわかりませんw
敷居: なるほど。なら得意な分野を分業して合作しよう、という発想が出てくるのは自然ですね。

音屋が組むならKIDP?

ドリ音: それでMIXしてもらったときに、ついでに映像も付けてもらおうという流れになって、KIDさんに白羽の矢が。
敷居: ここでKIDさん登場。
KID: 最初は、久々にIRCに入ったらいきなり音屋chの人達から「KIDPで良いんじゃね?」とか話が来て「???」状態。
ドリ音: 撃ったのはシロPかな?
KID: シロPとhikoPだったと思いますw
敷居: なるほどー。立ち絵担当のtiaraPを巻き込んだのはKIDPかな?
KID: ですです。まあ、一通り経緯を説明されて音源を聴いたんですよ。感想は「……俺を殺す気か!?」でした。
ドリ音: 出来としては特に良いものじゃなかったんですけど、hikoPのMIXで良い物に仕上げてもらった感じですね〜。
敷居: あー、KIDさんはあれだなあ。もう音源で無茶振りされたら超いい仕事をする人、というイメージが定着しちゃいそうですよね。これからもあちこちからふってくるんじゃないかなw
KID: いやーホントに迷ったんですよ。自分で映像付けられる自信はホントにこれっぽっちもありませんでした。でも話が来たのも何かの縁ですし、何より自分が断って他の人が映像つけたのを見るのが嫌でしたのでw
敷居: うん、いい攻めの姿勢だ!
ドリ音: 正直、断られると思ってましたw

人力の歌声には人力の改変絵を

*1
敷居: その後、ドリ音P→hikoP→KIDP→tiaraPというラインが完成するわけですが。
KID: tiaraPを誘ったのは自分ひとりじゃどうすることもできなかったからですね。3Dステージだろうがエフェクト系だろうが、キャプ映像のみではどうしても音源のインパクトには勝てないと思って。でもアイマスの絵自体を生かしてレールガン要素も入れて作りたくて。そこで真っ先にてぃあらんの名前が浮かびましたw
敷居: tiaraPの捏造絵さえあれば、この音源を使って動画を完成させることができるぞ、と。
KID: ですです。改変の絵を進んでやってくれる絵師さんって貴重なんですよ。普通の絵師さんにこれを改変してとかって、なかなか言えることではないですしね。個性を消せって言ってるのと同義ですし。
敷居: 絵師というよりも、昔からMAD職人がよくやる捏造壁紙に近いですよね。静止画MADを作る人がセットで捏造壁紙も作るってのは以前からよく見かける光景でしたし。
ドリ音: 最初は1枚絵で投稿しようと思ってたから、映像付けてくれるなら満足って感じで頼んだら、「助っ人呼びました」と。
tiara: 私はあんまりこっちの世界のことには疎いので・・・自分の個性とかあんまり考えないでやってるからなのかな、みんなやってると思ってやってたら意外とそうでもなかったというか。「限りなく公式っぽく」を目指すうえで本物っぽくするには、本物を使うのが一番てっとりばやいんでw
KID: てぃあらんは宇多田マコトメドレーの絵の通り、絵師としても非常に凄いですけどね。
tiara: ニコマスでは捏グラの方が先ですけどねw
敷居: 捏造絵職人でもあり絵師でもある。そういう人はなかなか珍しいんですね。
KID: ですです。
ドリ音: 普通描いちゃいますよねw
KID: そんな感じでレールガンの制服姿をねつ造して作ってと頼んだら、快く引き受けてくれたのでした。

視聴者層の意識

KIDP:後は個人的には、(tiaraPに協力を仰いだのは)映像の面でレールガンの客層もアイマスの客層も両方見てくれるようにしたかったからってのもありますね。
敷居: うん。現在までの結果を見る限り「レールガン」という絶好の題材を選ぶ上で、その選択はしっかり効果をあげてるんじゃないかな、と思えます。現段階で14万再生ですからねえ。
KID: その上で捏造の絵なら、あくまで「アイマス視聴者」と「レールガン視聴者」という2つの大きな括りに出来ますからねw
敷居: いやーあの動画い〜いコメントがついてますよ。歌詞職人も原作コメントも乱舞して。ああいう盛り上がり方は非常にニコニコ的で、理想的な流れの一つだと思っています。ま、多少荒れてることも含めてね。
*2
KID: まあ、ただ黒子が春香は無い!! っては結構、聞きますけどw
ドリ音: 人力ボカロ作ってた頃は、流行もひと段落したな〜とか思ってたんですけどね〜
KID: すいませんすいません……待たせてすいません!!!
tiara: でも結果として、一番いい時期に出せたんでしょうね。インデックス(の2期)が始まった時期だったのもうまい具合に勢いに乗れたかなっと。第一話テレビ放映と、ニコニコに第一話公開のちょうど真ん中でした。
敷居: ああ、なるほどなあ。それは確実に流れてきてるでしょうね。うむ、なぜ伸びたのか? の分析の話に入ってきましたね。このままの流れで行きましょう。
KID: まあ、音源を貰ったのが6月だったんですけど。
ドリ音: 7月か8月くらいに2期シリーズの話が聞こえてきて。
KID: そこらへんに上げられればなーってのはちょこちょこ話しては居ましたね
敷居: 結果的に一話のニコニコ公開直前に。
KID: まあ、時期的には完成したのがあの時期で出来て速攻、上げたから。露骨に狙ってたわけじゃあないんですけど。
tiara: もっと早く出す予定でしたしねw
ドリ音: まさかこの時期と重なるとは思ってませんでしたw
KID: ああいう静止画系の演出ってのは慣れてなくて、凝ろう凝ろうとしてドツボにハマっての繰り返しでした。
敷居: 動画編集はなかなか難産だったんですね。
KID: 難産どころか! 今までの自分の動画の中で一番もがいたと思います。7月、8月は真メドレーがあったので、その時はそっちに掛かりっきりになってしまったってのもありますね。
敷居: しかしそのぶん、結果はついてきてます。今回の動画は『ALRIGHT*』に変わる新たなKIDPの代表作と目されるのでは。

アイドルマスター ALRIGHT* (Sunflower Smile Mix)‐ニコニコ動画(9)
こちらも音:sitaP・絵:ekaoPとの合作。2007年からこつこつと地道に実力をつけてきたKIDPの本格的なブレイク作は何か? と問われれば、だいたいの人はこの動画を思い浮かべるのでは。

KID: そうであれば嬉しいですねw 両方ともこなしつつやれる合作でもなかったので(クオリティ的に)完全に頭から排除してそっちをやったわけですけど、結果的に真合作で培った技術がかなり今回の動画にも生かされてる事は間違いないです。
敷居: ふむ、過密スケジュールの作業になったけど、ちゃんとプラスに働いているってことですね。
KID: ですねー。
敷居: こういうと上から目線に聞こえてアレかもしれませんけど、KIDさんはリアルタイムに成長し続けてるのがわかる職人さんで、傍から経過を見ているのが楽しいです。
KID: まあ、動画に関しては現状で満足した時がその界隈からの引き際だと思ってます。常に新しい事をってわけじゃあないんですけど、やっぱり視聴者も同じことばっかりやってたら飽きると思うんですよね。なので、出来ることをさらに上手く昇華させていく事+その中に新しい事を取り入れるようには心がけています。
敷居: デビューからの経緯もね、2007年からずっとこつこつとやってきて、09年に本格的にブレイクって形ですからね。
KID: ん〜と……特に伸びる事目的にやってたわけでもなく、技術的にテーマを設けてそのラインに向けてずっと作ってたので。それが結果的にこうなったのかなってだけかとw
敷居: テーマを淡々とクリアしているうちに、結果が後から勝手についてきた、と。
KID: そうですねー。ただ、OP@Lって合作があったんですが、それは再生数を伸ばそうってもので。そういうのをやって、ああ数字取るのも面白いなーと。その結果出てきたのが『ALRIGHT*』です。

※Project OP@L
【iM@S】マスタースペシャルメドレー【Project OP@L】‐ニコニコ動画(9)

人力ボカロの下地にUTAUあり

敷居: こつこつ型といえば、ドリ音Pの人力ボカロも一朝一夕に上手くなるジャンルとはとても思えませんが。
ドリ音: 人力ボカロは、それまでUTAU*3を使ってたことで作り方が大体イメージできてたっていうのが大きいです。
敷居: やはりVOCALOIDやUTAUを使うことと感覚は近いんですか?
ドリ音: 使い方によると思いますよ〜。自分の場合、ほとんどUTAUの機能使ってなかったので。
敷居: 傍から見てると元から歌わせるためのソフトと声の完全な切り貼りじゃ別物なのでは、と思えてくるんですが……
ドリ音: UTAUは「歌わせるもの」というより「声を切り貼りするもの」だと思って使ってたので。オート機能のようなものは使ってませんでした。1つ1つの音を数ms単位で調整して。
KID: うわ……w
敷居: ははぁ……そりゃすごいな。
ドリ音: 無理やり「歌わせる」わけなので、歌ってる声を使っている人力ボカロの方が、人に近づけるという意味では使いやすいですねw
敷居: あー……まあ、確かに理屈上はそうなるのかもしれませんけどw
※追記
インタビューの後に興味持って大百科記事を読んでみたんですが、「UTAU」というソフトはそもそも人力ボーカロイドの支援ツールから発展して作られたものなんだそうです。そう考えると、UTAU→人力ボカロってラインはそこまで特殊例ってわけでもないのかもしれません。

正式名称は「歌声合成ツールUTAU」。人力VOCALOID支援ツール(WAVEファイルの切り張りツール)を基にして作られた実質フリーの歌声合成ソフトである。作者は飴屋/菖蒲(あめや・あやめ)氏(ニコニコ動画内では飴屋Pと呼ばれる)。

UTAUとは(ウタウとは)-ニコニコ大百科

人力ボカロの凄さはわかりやすい?

敷居: いや、なぜ伸びたのか? って分析を続ければ、人力ボカロって要因は外せないんですよね。ちょっと野暮な話ですが、人力ボカロの凄さってわかりにくいようで、実はとてもわかりやすいので。
ドリ音: 歌ってくれるっていうだけで嬉しくなりますw
KID: まあ、声だけでも普通に5万くらいは行ってたと思いますよw 人力ボカロはアイマス外の界隈も食いついてくれますしね。
敷居: 聞いてワンクッション置いた後に人の声を切り貼りしたものだと気付けば、誰でもちょっとまてすげーーー! と興奮できる。まあ、ドリ音さんの場合凄すぎてボカロやUTAUと勘違いされてる場面もよく見受けられますがw
ドリ音: やってることは音MADですね。
敷居: 元々歌ってる声だから切り貼りしても部分的にはボカロより歌ってる声に近づくこともあるんだってことを、僕はドリ音Pのロボキッスではじめて知りました。理屈としてはわかるけど、わかるけどほんとにやるのかよっ! と突っ込まずにはいられない部分がまたニコニコ向きでw

【人力Vocaloid】ロボキッス【やよい・亜美】‐ニコニコ動画(9)

ドリ音: 再生数は、もともとUTAUという小さな界隈出身だったから、20人くらいが毎日ループで見てるのかなーくらいに思ってました。
KID: そんなわけはないwww
敷居: そんなチリも積もれば理論はw
ドリ音: マイリストはとりあえず入れておいて、あとは放置、みたいなw
KID: まあ、音源だけでも伸びるってのは分かってたので。映像としては映像が前に出過ぎない、なおかつ声がより引き立つような作りを意識してますね。とにかく分かりやすく 派手に。ニコマス層みたいな玄人化してない人達に見せるには、それが一番ひきつけられますし見てて面白いと思うんですよね。
ドリ音: 実際のところ、外部の人にもっと見てほしい! と思える動画に声つけさせてもらってますよ。この動画、もっと他の人にも見てほしいな〜と。それでニコマスに興味持ってくれる人が増えればいいな〜と。
KID: 個人的にも今回好評だったのは嬉しいですね。アイマスでもやり方次第ではまだここまで見てくれるんだって実感できたので。
敷居: うん、ぶっちゃけるとニコマスは全体的な方向としてはとんがってとんがってガラパゴス化している印象はぬぐえないんですけど。
ドリ音: ガラパゴスすぎますねw
敷居: そのいうなかでも、こういうわかりやすくて、かつほんとに凄い動画がまだ出てきてくれるんだなーというのは、視聴者視点から見ても幸せなことですわ。
KID: 3Dステージってどんどんクオリティは上がってるんですけど、違和感を無くせば無くすほど一般にそこらへんにある映像と変わらなくなって行くんですよね……皮肉にも。
敷居: あーそれ、よくPさんから聞く話だなあ。
ドリ音: ニコマスは自然さを目指してるからw
KID: 後、それともう一つ意識したのは、こてこての静止画MAD風にはしたくなかったってのもありますね。静止画MAD自体は映像を細かく詰める方向に走ってるものが多いんですけど、Disるわけではないんですけどそれも程度が行き過ぎると「すごいけどわけわからない」で終わってしまう恐れがあるなーって。
敷居: わかります。アイマスMADな以上、「動く」ものにしたかったわけですね。
KID: ですです。
敷居: まあ、詰め込み型の動画も僕個人的にはけっこう好きなんですけど、実際のところ客層は絞られると思います。客層って表現もあれですけどね。視聴者層。
KID: 音を意識してバランス良くメリハリ付けて映像としての要素を限りなく絞ったのが、結果的に何度も見てもらえるものになったのではないでしょうか?
敷居: 派手に見えつつ疲れない動画を目指して、ある程度成功した実感もあるってことですね。
KID: ニコマスで言うとわかむらP風のあっさり構成にド派手な演出って感じですかね。

参考動画はガンジスP

敷居: その意味でいうと2分という短さも大きい。このように短い時間を複数人が一番得意な部分を組み合わせて作りこんだ合作というのは、この動画に限らずここしばらくの大きな流れの一つですよね。
ドリ音: 2分といえば、ガンジスPの動画を参考にさせてもらいました
KID: wwwwwwwwwwwwwwww
ドリ音: ほとんどアニメ版の長さで、1分半くらいなんですよね。
KID: あれは非常に参考になりましたね。
ドリ音: 1分半じゃちょっと短いかなーと思って2分くらいにまとめてるものを探したら、ガンジスPのが上手くまとめられてたw
敷居: え、ちょっとsm番号を
KID: sm9742275

エスパー伊東素材で【LEVEL5 -judgelight-】とある科学の超電磁砲‐ニコニコ動画(9)

敷居: ちょ、これかよwww
KID: 最初はもっとイントロが長くて、俺がイントロかアウトロのどっちかを削って欲しいって頼んだんですよね。
ドリ音: 音屋IRCでshort.verの話をしてるときに、皆であの動画見て、まじめに話するんですよ・・・凄くシュールだった。
敷居: ガンジスさんも思いっきり突っ込んでるしw

KID: 音屋の人たちはなんていうかストイックなんで、その手の話題になるとネタなんて頭に入らず没頭しますからねw
ドリ音: ところどころで我に返るんですけどねw
敷居: すげー光景だなあそりゃ。
KID: そしてドリ音さんから、エスパーかマギーを動画に入れるべき、と何度か言われましたねw

配役の理由

敷居: では合作の経緯、動画の受け取られ方、作ってる最中の意識などなど色々聞いてきたところで、そろそろ動画の具体的な内容についても聞いときたいなあと。
KID: ほいほい
敷居: これは元ネタと比較しながら見ていくべきなんでしょうけど、それぞれの役柄がえーっと……
KID: 千早=美琴

KID: 黒子=春香

KID: 佐天=美希

KID: 初春=雪歩

KID: ですね。
敷居: うんうん。で、春香さんに若干突っ込み入ってるとw
tiara: 悩みましたねw
KID: 千早は美琴固定は決まってて、初春もどうみても雪歩だったのでそこはすんなり決まったのですけど、黒子は該当するキャラが居なくて。
tiara: やよいとか伊織も候補でしたねー。
敷居: 佐天さんが美希ってのもけっこう意外性はありますね。天才に凡人の役をやらすとは、という。
tiara: 佐天は最初響という案もあったような
ドリ音: 響案ありましたね
KID: 響はもし他もキャプ映像を使う場合に代用が効かないので美希にしよう、という俺の勝手な事情からでした。
敷居: 黒子=春香については?
tiara: 春香にしたのはカップリング的視点からでしたっけ。
KID: アイマス的に考えるとはるちはっぽい位置づけでいいんじゃね? という感じで春香にw
tiara: 千早に抱きつけるのは春香くらいかなあって。あとりぼん?w
ドリ音: まあ定番ネタかなあと
敷居: おっけいおっけい、僕は納得した。大丈夫だ、問題無い。
KID: そこらへんはアイマス層を完全に意識ですね。かと言ってレールガンの側がアイマスキャラをそんなに細かく分かる事は無いだろうってのもあって。だからツッコミ入れたのはどっちも分かる層かなっと。
敷居: どっちもわかる層もたくさん見てるでしょうしね。
KID: まあ、そこがアイマス層にも楽しんでもらうっていう配慮かなっとw

絵作りの工夫、音作りの工夫

敷居: さて、で動画冒頭です。KIDさんらしい青系のエフェクトから、さっそくアニメーションしてますが。
KID: ほいほい
敷居: あれは担当tiaraPかな? コインをピンっと。

tiara: コインはじくところでしょうか、あそこはアニメのトレスです。
KID: 絵がてぃあらんで、それに俺がノイズっぽいエフェクトを入れたって感じですね。元はちゃんと肌色ですよw
敷居: ていうか考えてみたらここ手だけだからアニメそのまま持ってきててもよいのか。でも、トレスしてちゃんと描いてるんですね。
KID: まあ、アニメをそのまま持ってくると背景入っちゃうのでw
tiara: 今考えたら背景消すだけでよかったな・・・w
KID: まあ、俺もどういう使い方するか明確に決まってなかったから仕方ない。
tiara: 画質的な感じではトレスの方がよくなりますし、よかったことにしましょう。
敷居: 人力ボカロ音源も、全編凄いんですけど特に入りは半端ないですねー。自然すぎ。
ドリ音: いろいろ工夫してみました。
敷居: ほうほう、具体的にはどのような?
ドリ音: というかAメロBメロ、音が低すぎて無いんですよw
敷居: 音源になる声が無いってことですよね? ではどうやって。
ドリ音: 子音と母音を繋ぎ合わせたりとか、ピッチ調整して何とかかんとか、ですね〜。ようは1つの音を作るのに、複数の音を繋ぎ合わせてる……ってことです
KID: まあ、そこは聞いても俺でもわかんないので……というか敷居さんもわからんでしょうよw
敷居: 確かにわからんけどw でも「願いが今、目覚めてくー」のとことか普通にそのままの音源を持ってきてるとしか思えないのに。そうか、これ無いのか……。
ドリ音: 人力は、運ですから……たまたま綺麗に聞こえるような結果になることもあります。
KID: まあ某オフで爆音で流しても、自然すぎて聞いてる人の半数以上が人力って気がついてなかったくらいなので。
敷居: ははw そりゃそうなるかw
KID: あとから「え……あれ人力!?」 みたいな声が多数w
敷居: ていうか僕が最初にKIDPくんから音源聞かされたときもそうだったし。
KID: ですね。みんな素通りしてて。
敷居: お、レールガンじゃん。いいよねー、へー次はこれで作るんだーって。
KID: これ人力!! って言って初めてみんな気がついたという。
ドリ音: サビの部分は、本人が歌ってるのイメージしやすいんですよね〜
敷居: 「本人」って千早のことですよね。こういう歌い方をしそうだってのがイメージしやすいってことですか。
ドリ音: イメージ大事です……ロボキッスとか、そのまんまでしたね。
敷居: イメージしやすいってことが僕にはイメージできないのでどうにもこうにも。
KID: まあ、そこがドリ音さんの感性の部分なんでしょうねw
敷居: ドリ音さんの中で歌ってる声が聞こえてて、そこに近づけていってるってことなんでしょうが。
ドリ音: 基本は耳コピですけどねー
敷居: ふむふむ、ここは人力ボカロ経験者なら理解できるかもしれないとこなのかな……
ドリ音: んーと、ピッチは、これを聞いてもらうとわかるかな?
(※調整前の歌声? を流すドリ音P。)
KID: 吹いたw
ドリ音: うわさのサビですけど
敷居: こwれwはwww
ドリ音: ようは、音程のことです。ピッチというのは。
敷居: 音程を無理やり来させるわけですね!!
ドリ音: 音程さんにがんばってもらうわけです。
敷居: しかしこれ聞いた後に本編聞くと……音程さんが過労死しないか心配になりますね。
tiara: どうしたらあんなふうになるんだw
ドリ音: なんとかなっちゃいました。
敷居: 人力やっぱたいへんなんだなあ……
KID: んで、MIXってのは声を音源に乗せた時に違和感が無いように馴染ませると言うか。
ドリ音: 説明するの難しいですねw
敷居: 細かい技術については聞いても僕には理解できないと思いますけど、過去に「歌ってみた」ジャンルの人のミキサーが付く前と付いた後の動画を比較したことがありまして。全く別物になる、ということは肌で感じています。
KID: そう言う事ですね。最終仕上げで出来が変わってきますよーって事。映像でいうところの色調補正みたいなイメージを持ってもらうとわかりやすいかなっと。あ、じゃあ例になりそうなこれ送っておきます。


KID: 補正前と補正後。
敷居: ほほー! ぜんぜん違うなあ。
ドリ音: MIXは映像でいうエフェクトに近いかな。
敷居: エフェクトってのはこうやって、後からかけるもんなんですね。

敷居: 絵の話に戻ります。途中の絵は最後の集合絵から切り出してる? ……わけじゃないですね。どれも見たことのある絵面だけど、色々あるな。
tiara: 最後の1枚絵と、もう1個集合絵と、それから個別のアップ絵ですね。全部公式からのコラで作ってます。
KID: それを最初の集合絵から部分的に切りだしたりとかして、個別アップと組み合わせたり。
敷居: 一つの完成してる絵面を部分的に切り出してるのが多いですよね。
KID: まあ、使い回しですけどねw
敷居: 一枚絵を先に複数枚用意して、それをKIDさんが料理したと。
KID: ですです。少ない素材を効果的に。エロゲOPメソッドですね。
敷居: 総枚数としては、何枚くらい描かれたんですか?
KID: 10枚行くか行かないかだっけな?>てぃあらん
tiara: そうですねーそれくらいです
KID: 集合絵2枚とあとはキャラ個別。集合絵も背景と人物のレイヤーを分けてくれてたので、人物だけでも使えたのですよ。元の絵も解像度を大きく描いてくれたので流用しやすかった。アップ画面にしても画質が悪くならないので。
敷居: ははあ……それは元絵がどうなってあの動画になってるのかが気になってくるとこですねえ。
tiara: どんな風になって返ってくるかわくわくしながら待ってましたw
KID: まあ……期待は裏切ってないかなっとw

動画作成の思い出:KIDP

敷居: それぞれの担当で一番苦労した点、もしくは思い出深い点などがあれば聞きたいです。
KID: じゃあ、俺から言いましょうかw
敷居: そーとー難産だったってのは既に聞きましたけど。
KID: 技術的にはそんなに難しい事はしてないですしエンジン掛かってからは制作早かったんですけど、音と改変をどうやって双方を生かす構成にするかって点がやっぱり苦労しましたね。
敷居: ふむふむ。
KID: 掛かった時間は構成考えるのに95%、制作に5%です
tiara: www
KID: まあ、要するにずっとPCの前でAE触りながら唸ってた時間が大半って事ですね。下手なものは出せないってプレッシャーから最初は凝ろうって結構小難しい事やってたんですけど、見返してみたらただの分かりにくい動画になってきたので……全部、破棄してシンプルに作った結果がアレです。
敷居: 難しいことをやってた時間が大半、そこで開き直ってシンプルにわかりやすい動画にしようと決めてからはあっという間だったってことですか。
KID: そうですね。思い出深い点としては、3人で改変キャラどうのこうのとか構成をどうしようかとか話てる時間は、本当に楽しかったですね。
敷居: ああ、そりゃ一緒に作業することの醍醐味でしょうねえ。。
ドリ音: 自由に作ってもらおうと思った割には、注文付けすぎたかな? と心配でしたけど。
KID: いえいえ。あれくらいこだわりを持ってもらってた方がこちらも遣り甲斐ありますし! でも注文といっても、MMDはNGってのと再現アニメはしないってくらいじゃなかったですかね。
ドリ音: 静止画メインで行きましょうか、というくらいに落ち着きましたっけ。
敷居: ほほー。
KID: サイバー演出中心+静止画 で落ち着きましたね
敷居: どっちであってもウケたとは思いますけど、それはもうたくさんあるからあえて避けた感じですか?
KID: MMDについてはドリ音さんから話した方がいいかなっと
敷居: ふむ、わかりました。ではドリ音P。
ドリ音: あれ、あまり記憶にないw
敷居: ちょw
KID: 個人的にMMDは人力に合わないと思う って言ってたじゃないですかw
ドリ音: どっちも作り物だと、劣化の掛け算で悪く見えるんじゃないかなあと。互いに悪い部分を目立たせてしまうかな〜とは思ってました。
KID: そういう意向もあって自分もそれには同意って事でMMDは抜きましたね
敷居: なるほど。
ドリ音: 映像で何とか不自然さを補完してもらうつもりだったのでw

動画作成の思い出:ドリ音P

敷居: ではそのドリ音さんはどうですか? 何か思い出深い点などは。
ドリ音: 思い出深い点……音選びの方法を変えてみたことですね。素材となる曲を絞ってみました。
敷居: 素材を絞った? 広げたんじゃなくて絞ったんだ。
ドリ音: 声質って曲によってバラバラなんですよね。
敷居: はい、それはわかります。
ドリ音: それを繋げると、凄い違和感になるんですよ。だから今回は最初に蒼い鳥だけで作って、その後で違和感ある部分だけ他の曲から素材を用意した、という感じです。
敷居: え? 最初蒼い鳥だけって……そんなこと可能なんですか。
ドリ音: 最初は1曲だけでいけるとは思ってませんでしたけど、曲の相性が良かったんでしょうね〜
敷居: てっきり人力ボカロってありとあらゆる声素材を用意しまくって声を発掘するところから開始なんじゃないかと思ってたんですが……まあ確かに、使う曲の種類は少なければ少ないほど自然に近づくのは道理ですね。以前別のインタビューでゆりあさんが言っていた、ダンスを組むときはできるだけモーションを取ってくる極の種類を少なくしたほうが自然になるって理屈と同じか。
ドリ音: ですね〜
敷居: 僕の勝手なイメージだと、あれだけ自然に聞こえるからには一音一音単位じゃなくてセンテンス単位で同じ言葉を歌ってる部分を見つだして調整しているに違いないとか、そんなことを考えてたんですけど、今の話を聞く限りんなわきゃないと。
ドリ音: 理想は1音単位ですね。劣化少なくなるし。
敷居: あー、むしろ1音単位のほうが理想なのか。僕の想像的外れすぎるなw
ドリ音: 音の切り替わりは単なるクロスフェードです。音程合わせておかないと、綺麗に移り変わってくれませんけど、そのへんはUTAUで慣れてたので。
敷居: 僕が思っていたよりもず〜っと細切れのものを組み合わせてできていたんですねえ。視聴者はそこまで細切れのものを組み合わせてるっての、わかってないんじゃないかなあ。
ドリ音: わからないように作りますからねw 1音でも、ものが無ければ10個くらい音を繋いだりしてます。
敷居: ほとんど蒼い鳥でできているとか、言われなきゃんなもん、わかるわけありませんよw
ドリ音: まあ細かい話になるとキリが無いですけど、歌ってくれれば、それで満足ですw
敷居: はい、まあそういうことで、インタビュー読者も知られざる人力ボカロ作成行程の一端を垣間見れたのではないかと思います。

動画作成の思い出:tiaraP

敷居: tiaraPはどうでしょう? 特に思い出深い点、苦労した点などがあれば。
tiara: そうですねー。アイマスではないものをアイマスにするというか、アイマスと、アイマスではない世界を融合させるというか。
敷居: うんうん。
tiara: 公式ではできないコラボレーションを自分でやっちゃうっていう点では人力とアイコラってすごく似てるのかなーと思いました。両方のイメージをそのままに残して中間点を取るというところは結構気を使ったかなと思います。
敷居: それが見たい、だから無理やりだろうがなんだろうが作っちゃう。
tiara: ですですw
敷居: 完全にどちらかに傾くと合わせた意味ないですもんね。
tiara: 頭身が違ったり絵柄も全然違うので……上手く折り合いをつけさせるのは苦労したところかな? と。この音源のイメージを崩してはいけないと思ってw
敷居: そういう意味では、特にわかりやすいのはラストの一枚絵の破壊力ですねえ。あれはすさまじかったなあ。

tiara: あれは一番最初に作ったものですねー。意外と時間がかかりました。
敷居: 顔は全くアイマスのままだけど、どうみてもレールガン!
tiara: 顔をくっつけるだけではなくて、トレス部分も塗りをアイマス風にしたりとか、描き方も少しアイマス風に変えたりとかしてます。雪歩がほとんどなにも試行錯誤せずにぴったりはまりすぎていい子でしたw
敷居: あの雪歩の頭の花、むしろ初春より自然に見えるかもw
tiara: 一番しっくりくるキャスティングだったと思いますw
敷居: あ、そう考えるとある意味失敗してるかもしれませんね! 雪歩に似合いすぎて初見で初春に感じるはずのあの圧倒的な突っ込み力は再現できていないw
tiara: www
敷居: お い そ の 花 は な ん だ というあれが。
KID: 非常に良い人材をヘッドハンティングしたな と改めて思いました まる

視聴者に一言

敷居: では最後に、視聴者さんに何か一言。
ドリ音: 動画見てもらってありがとうございます。落ち込んでるときに見て気分が晴れるようなものを目指してるので、これからもよろしくお願いします。
KID: アイマス好きもレールガン好きも双方が楽しめる動画になっていれば幸いです。まだまだ精進して視聴者が楽しんでくれるような動画作りを目指して頑張って行きます。
tiara: これって公式!? って一瞬でも思っていただけたら嬉しいです。公式のようで公式ではないものを、これからも作っていきたいと思います!
敷居: はい! というわけで、今回はドリ音P・KIDP・tiaraPのお三方に色々とお話をうかがいました。長時間のインタビューにお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

*1:テラレールガンすぎる改変絵

*2:歌詞職人が淡々といい仕事をして、原作コメントが無邪気にガンガン流れてくる。これぞニコ動の醍醐味だ。

*3:VOCALOIDの同人版のようなもの。当然商業ソフトであるボカロよりも自然に歌わせるのは困難と思われる。

桃井はるこも泣いた! 『ワンダーモモーイ re:produce』友P&慈風P緊急インタビュー!


皆さんは先日発表された合作動画『亜美真美メドレー』の後半にて、ニコニコ動画初期の名作『ワンダーモモーイ』をリスペクトしたパートがあったのを覚えておられるでしょうか?

亜美真美メドレー

【合作動画】亜美真美 Birthday Mix 紳士だらけのちょ→祭典SP! ‐ ニコニコ動画(原宿)
【合作動画】亜美真美 Birthday Mix 紳士だらけのちょ→祭典SP! - ニコニコ動画
 今年の5月29日に発表された大規模合作動画。参加者はitachiP、ekaoP、OGOP、かんどるまP、ぎょP、こんにゃくP、しげP、慈風P、友P、TPTP、まっつP、未来派P、わかむらP。参加者それぞれが創意工夫を凝らした強烈な動画。

ワンダーモモーイ

THE IDOLM@STER アイドルマスター ワンダーモモーイ by 亜美@とかち ‐ ニコニコ動画(原宿)
THE IDOLM@STER アイドルマスター ワンダーモモーイ by 亜美@とかち - ニコニコ動画
 07年5月2日にあにょにゃPによって投稿された初期の名作。
 使用曲は『ワンダーモモ』を桃井はるこが「太鼓の達人」用にカバーしたもの。アイマスのノーマルPV・コミュ動画と平行して「アイマス以外の曲と合わせた動画」「画面演出を少し追加した動画」などがじわじわと増え始めていたあのとき、コミカルでありながら、どこか胸に迫るものがある曲の内容にダンス・衣装・演出をぴったりと合わせたこの動画の登場は、大きな衝撃であった。


昨日、そのパートの単品完全版が公開されております。

アイドルマスター ワンダーモモーイ by 亜美@とかち re:produce ‐ ニコニコ動画(原宿)
アイドルマスター ワンダーモモーイ by 亜美@とかち re:produce - ニコニコ動画
まずは何も言わず、この動画をご覧下さい。*1



担当の慈風Pと友Pのブログで公開されていたファ○通記事が実現した形ですね。
で、「どうせ実現するならインタビューも」ということで、今回は動画製作者の慈風P&友Pからインタビューとってきました。製作の苦労話、裏話、内容に沿ってのコメンタリー。色々気になる点を公開直後にすぐ確認できるってんだから、これは幸せな話ですよー。
ただし、当然ネタバレ満載なので、動画見てからでよろしく!

*1:もうこんなにブックマークされとんのかいw

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